英議会調査員ら2人、中国のためにスパイ行為か 当局が起訴

イギリスの議会調査員などを務めていた男性2人が22日、中国のためにスパイ行為をしたとして起訴された。「敵の役に立つ」かもしれない情報を提供したとされる。

ロンドン警視庁によると、議会調査員クリストファー・キャッシュ被告(29)と、クリストファー・ベリー被告(32)が公務機密法に基づいて起訴された。2人は「物品、メモ、文書、情報」を外国に渡した罪に問われているという。

この嫌疑について、警察のテロ対策部門は「非常に深刻」だとコメント。「極めて複雑な捜査」を経たとした。

一方、中国は「悪意ある中傷」だとしている。

昨年3月に逮捕

ベリー被告はオックスフォードシャー・ウィットニーに、キャッシュ被告はロンドン・ホワイトチャペルに、それぞれ在住している。

両被告は昨年3月、この事件に絡んで逮捕された。その後に保釈されたが、捜査は続けられ、昨年遅くに公訴局に書類が送られた。

キャッシュ被告は、英議員らでつくる「チャイナ・リサーチ・グループ」と関わりのある議会調査員で、与党・保守党の議員数人と接触していたとみられている。

英紙サンデー・タイムズは、キャッシュ被告がトム・トゥーゲンハート安全保障相や、議会外交委員会のアリシア・カーンズ委員長らと接触していたと報じた。

犯罪とされる行為は、キャッシュ被告については2022年1月20日~2023年2月3日に、ベリー被告については2021年12月28日~2023年2月3日に、それぞれ犯したとされる。

両被告は26日にウェストミンスター治安裁判所に出廷する予定。

中国は「でっち上げ」と

在英中国大使館の広報担当は、すでに「関連の対応を2023年9月10日に取っている」と説明。「中国が『イギリスの機密情報を盗んだ』疑いがあるという主張は完全にでっち上げであり、悪意ある中傷以外の何ものでもないと改めて強調する」とした。

さらに、「私たちはこれに断固反対する。イギリス側には、反中国の政治工作をやめ、このような自作自演の政治茶番劇をやめるよう強く求める」と述べた。

議会外交委員会のカーンズ委員長は、この件に関して「これまで以上にコメントするつもりはない」とX(旧ツイッター)に投稿。

「この問題は現在、司法手続きが進められている。そのため、私を含む誰もが、国家安全保障に関わる刑事裁判について先入観を抱かせるようなことは言わないことが重要だ」とした。

リンジー・ホイル下院議長は、起訴された1人は議会の通行証を保持する者だと指摘。「国家安全保障に関わる刑事裁判」について先入観を持たせないよう、議場でこの件に言及すべきではないと議員らに訴えかけた。

(英語記事 Two men charged with spying for China under Official Secrets Act

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