写真界の芥川賞・木村伊兵衛写真賞を受賞した金仁淑さんの受賞作品展開催

By CAPA編集部

第48回木村伊兵衛写真賞の受賞作品展が、2024年4月26日より開催される。

作品名《Eye to Eye, 恵比寿映像祭2023 Ver.》 / 10チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション、2023年 / 恵比寿映像祭2023「テクノロジー?」コミッション・プロジェクト展示より (提供 : 東京都写真美術館 撮影 : 井上佐由紀)

第48回木村伊兵衛写真賞の受賞者は金仁淑 (キム・インスク) さんで、対象作はビデオ・インスタレーションの「Eye to Eye」と、写真とビデオで構成した「Between Breads and Noodles」。「Eye to Eye」は滋賀県にあるブラジル人学校に通う子どもたちや関係者を題材とし、「Between Breads and Noodles」はかつて大韓民国が国家政策で派遣した在独韓国人や彼らの家族を捉えている。金さんはさまざまなアイデンティティーを持つ人々の社会に入り込み、コミュニケートする過程を写し出すことで、多様な社会の在り様を提示してきた。

選考委員の大西みつぐさんは「今では動画が写真とともに鑑賞され、評価されるようになってきた。〝動く写真の必然〞を考えなければならなかった」と指摘する。「Eye to Eye」では、撮影者にじっと立つように指示されたであろう子どもたちが、我慢しきれずに動いている場面がある。同じく選考委員の長島有里枝さんは、ビデオ作品だからできる〝写真的なこと〞として評価した。

今森光彦さんは「動画は日常的で緊張感がないことから、混沌とした多様性を表現する手段として、動画と静止画の組合せは適している」と話し、澤田知子さんは「〝多様なことは普遍である〞とのテーマが一貫しており、その素直さはとても美しく作品に力をもたらしている」と評した。

金さんは1978年、大阪府生まれ。韓国の漢城大学芸術大学院へ留学し、現在はソウルと東京を拠点に制作活動を行なう。なお、最終選考にはうつゆみこさん、金川晋吾さん、清水裕貴さん、中西敏貴さん、村越としやさんの6名が残った。

第48回木村伊兵衛写真賞受賞作 : 金仁淑作品展「Eye to Eye, Side:C」

会期 2024年4月26日 (金) ~5月9日 (木)
会場 ソニーイメージングギャラリー
住所 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6F
時間 11:00〜19:00 (初日は12:00から)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ ソニーイメージングギャラリー (TEL 03-3571-7606)

ギャラリートーク

日時
2024年4月29日 (月・祝) 19:30~20:30
2024年4月30日 (火) 19:30~20:30
会場 ソニーイメージングギャラリー
申し込み WEBサイトより
https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/240426/

写真 : 高野楓菜 朝日新聞出版写真映像部

金仁淑 (キム インスク)

1978年、大阪府生まれ。ビジュアルアーツ専門学校大阪夜間部写真学科卒業。漢城大学芸術大学院西洋画科写真映像コース修了。2003年から留学を機に韓国へ移住後、韓国での活動を経て、2018年から東京とソウルを拠点に制作活動を展開。国立現代美術館 (韓国)、デュッセルドルフ市 (ドイツ) が運営するアーティスト・イン・レジデンシーなどで滞在制作を行い、国内外にて個展、グループ展を多数開催。恵比寿映像祭コミッション・プロジェクト第1回特別賞、第48回木村伊兵衛写真賞などを受賞。

木村伊兵衛写真賞

木村伊兵衛写真賞は、故・木村伊兵衛氏の業績を記念して1975年に創設され、2008年4月に出版部門が朝日新聞出版として独立した後は、両社の共催となった。各年に優れた作品を発表した新人写真家を対象に表彰し、写真関係者からアンケートによって推薦された候補者の中から、2回の選考会によって決定される。

〈文〉市井康延

プリント環境を教えてください! Amazonギフトカードが当たるアンケート実施中

© 株式会社ワン・パブリッシング