チーフス戦で「説教」を受け、以前よりマクダニエルHCを評価するようになったドルフィンズWRヒル

マイアミ・ドルフィンズのタイリーク・ヒル【NFL】

ワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルはマイアミ・ドルフィンズへの移籍を後悔していない。ヘッドコーチ(HC)マイク・マクダニエルが自分に責任を負わせたからこそ、ヒルはそう感じているようだ。

一流のレシーバーであるヒルが指摘を受ける必要がある場面は滅多にないが、それが必要なときに恐れずに行動に移せるヘッドコーチの下でプレーできることを、ヒルは喜んでいる。

ポッドキャスト『Million Dollaz Worth of Game(ミリオン・ダラズ・ワース・オブ・ゲーム)』に出演したヒルは、シーズン第9週に敗れたカンザスシティ・チーフス戦をこう振り返った。

「(セーフティ/Sラジャリウス)スニードに対するプレーだ。チーフスの全員が、あいつが俺を地面にたたきつけるところを見ていた。彼(マクダニエルHC)は俺に説教した。“リーク、君はこのリーグで最高の選手であるべきなのに、彼にあんな風に至るところで捕まえられている。われわれは何のためにこんな大金を払っているんだ?”ってね」

「俺はそういうのが大好きなんだ。だって、俺はそれを胸に刻んで、そこからもっと良くなっていくから。人生であんなことは二度と起こらない。もし俺に責任を負わせないなら、より良くなることなんてできない気がする」

「もちろん、コーチたちはそうせずに、ただただ“ああ、彼はあそこから良くなっていくだろう”と言うこともできる。でも、もし彼が何も言わなかったら、ロッカールームの他のやつらはそれを見て“リークにできるなら俺にもできる”っていう風に考えるはずだ。それではチームが良くならない。みんなに良くなってもらう必要がある。弟のような存在の(ジェイレン)ワドルに関しては、面倒を見て教えようとしている。みんなに報酬を得てもらいたい。全員がそれに値する」

ヒルは、ドルフィンズが次のレベルに到達するために必要なものは高額な報酬だと考えている。この2シーズン、かつてのチームメイトがリーグを支配する様を目の当たりにしてきたヒルは、双方にとって理にかなった契約を結んでいれば、チーフスでその作戦の一翼を担っていたはずだった。

チーフスはそうする代わりにヒルをドルフィンズに送っている。ヒルはそこで高額の契約延長を実現させてドルフィンズの計画における中心的存在となった。今のところ、ヒルが経験したのは2度のプレーオフ進出――そして、2度の1回戦敗退――だけだ。

今年の負け方は最も悔しいものだったかもしれない。ワイルドカードの座を手に入れてプレーオフに進出したドルフィンズは、極寒のカンザスシティでチーフスと対戦することを余儀なくされた。ドルフィンズのような温暖な地域のチームにとって、このコンディションは致命的だったと言えよう。ドルフィンズは第3ダウンで12回中1回しかコンバートできず、獲得ヤードも275ヤード以下にとどまり、チーフスに26対7で敗北。失意のうちにシーズンを終えた。

ヒルは2年連続で、チーフスがスーパーボウルで優勝する瞬間を見届けなければならなかった。しかし、1回目とは異なり、ヒルはチーフスからドルフィンズに移籍した自分の決断を見直すことを余儀なくされるとしても、2回目の機会では旧友たちがフットボール界で最大の勝利を挙げて喜ぶ姿を見ざるを得ない状況に自分を置いている。

チーフスに残っていたら自分のレガシーはどうなっていたかと考えることはあるかと質問されたヒルは「ああ、そういう部分もある」と答え、こう続けた。

「彼らが(スーパーボウルに)出場した最初の年、俺は妻と東京旅行に出かけていた。だって、きつかったからね。試合は見たくなかった。どの試合も見たくなかった。彼女が“ねえ、東京に行こう。そこから離れて自分たちの時間を過ごそう”と言ってくれて、最初の年は東京に行った。彼らが優勝したとき、俺はみんなに連絡した。みんなのことを思って幸せだ、みんなを誇りに思うってね」

「2年目の今年は、彼らが勝ったとき、俺は試合をずっと見ていた。“みんな、俺たちも優勝しなきゃいけない”って感じだった。今回は冷静だ。でも、1年目は彼らがあそこで試合に出る姿を見るというハードルを越えるのがつらかった」

それは有益な経験だったと考えられる。なんと言っても、第54回スーパーボウルでロンバルディトロフィーをホームに持ち帰ったヒルは、スーパーボウル制覇経験者としてドルフィンズに加入したのだ。とはいえ、ヒルがそれを成し遂げたのはしばらく前の話であり、そこからシステムや周りの選手に関係なく大きな影響を与えられるエリートであることを証明してきたとはいえ、キャリアを終えるときにはスーパーボウルリングが最も重要になるとヒルは考えている。

だからこそ、ヒルは2024年シーズンに向けて1つの目標――いや、2つの目標――を掲げているのだ。

「2,000(ヤード)とスーパーボウル制覇」とヒルは話している。

ヒルにはそうした計画がある。それを遂行できるかは、ヒルとマクダニエルHCをはじめとするドルフィンズの爆発的なオフェンス次第だ。そして、ドルフィンズは計画を実現させるまでに、チーフスとの対戦を経なければならないだろう。

【RA】

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