名古屋市内の人気住宅地で続々と進むマンション建設。主導するのは地元のデベロッパーばかりではありません。
地下鉄東山線・今池駅の真上に建設中の29階建てタワーマンション「ザ・ファインタワー名古屋今池」。開発しているのは大阪が本拠地の中堅デベロッパー、京阪電鉄不動産です。
覚王山エリアで分譲中の地上14階建てマンション
一方、人気の名古屋市千種区・覚王山エリアで分譲中の地上14階建てマンション「ジオ覚王山」。手がけるのは、こちらも大阪が本拠地の中堅デベロッパー、阪急阪神不動産です。
名古屋市昭和区の地下鉄御器所駅からすぐの幹線道路沿いにあるマンションの建設現場。敷地面積5500平方メートル以上の土地に17階建てが建ちます。マンションの名称は「レーベン名古屋御器所」。東京が本拠地の中堅デベロッパー、タカラレーベンのブランドです。
地元以外の中堅デベロッパーは、名古屋をどのように見ているのでしょうか。
タカラレーベン 熊野太一・中部支店長:
「名古屋自体のマーケットの魅力は、都市部と住環境が非常に整っている場所、かつ町としてだいぶ成熟しています。これから人口が増えることを考えると、まだまだ開発の余地はあると思っています」
土地の開発業者が5年で急増
中日BIZナビ編集部の森若奈記者に詳しく話を聞きます。
――なぜ、ほかの地域からの中堅デベロッパーの参入が増えているのでしょうか。
土地の仕入れ価格や資材費を含めた建築コストが上昇する中で、東京中心部ではブランド力のある財閥系のマンションなど、高価格帯でも売れるプロジェクトしか成立しなくなりました。そこで中堅デベロッパーなどは、関東地方の郊外や名古屋市を含めた地方都市へと進出してきているのです。
東海地区の新築マンション事情に詳しい新東通信のマーケティングプランナー、佐藤寛文さんは、東京都・大阪府から新規で進出したデベロッパーが、ここ5年で急に増えてきているといいます。
3月に公表された地価では、名古屋市の住宅地の地価も3年連続で上昇していて、上げ幅はどんどん大きくなっています。また、東海3県のマンション1室の平均価格と面積の推移を見ると、1室の面積はこの20年で15平方メートル以上狭くなった一方で、価格は2000万円以上も上昇しています。坪単価は2倍以上になりました。地価が上がった分、部屋を狭くしないと1室の価格が高くなりすぎてしまうのです。
新東通信の佐藤さんは「今後も価格が下がる要素はない」と話します。
矢作地所のターゲットはファミリー層
――地元の土地の開発業者はどのように捉えていますか。
矢作地所の芝山真明社長は「名古屋は東京・大阪と全く違うマーケットがある。我々は地域のニーズを理解している」と自信を見せていました。矢作地所は初めて物件を購入するファミリー層をメインターゲットにしています。家族でゆったり暮らせる間取りや、出し入れしやすい駐車場などの付加価値をつけて、納得して買ってもらえる物件を供給すれば、勝負できると考えています。
――中古マンションを買おうという動きはないのでしょうか。
新築が高すぎるなら中古で、という動きは広がっています。名古屋市内の中古マンションの価格は、10年間で900万円近く上がっています。ただ、新築マンションに比べると、まだ価格が抑えられています。そうした中、注目が集まっているのが中古マンションのリノベーションです。
画像は築年数約50年のマンションをリノベーションした部屋です。築年数の古いマンション、いわゆる“ヴィンテージマンション”のリノベーションに力を入れる、千種区覚王山の「かなでる不動産」が手がけました。
かなでる不動産は年間20件ほどの中古物件を仲介していて、年々、問い合わせは増えているといいます。今後、中古マンションのリセール市場も活性化しそうです。