「八幡ってすごいやん」背割桜や飛行神社… 京都・八幡の魅力をピアノ曲に

八幡をテーマにしたオリジナルのピアノ曲を作っている馬部さん(八幡市八幡)

 京都府八幡市の自然や歴史を題材にしたオリジナルのピアノ曲を作っている馬部恵子(ばべ・けいこ)さん(58)。2023年4月から動画共有サイトYou Tubeのアカウント「京都府八幡市の魅力」を開設して公開し、現在は12曲にのぼる。「イメージが聴いている人に伝わるよう心がけて作曲している」と話す。

 自身の肩書を「ピアニストで作曲家で朗読家」と紹介する。大学の教育学部で音楽を専攻し、約30年前に八幡市に移り住んで、自宅でピアノ指導を始めた。

 小学校での絵本の読み聞かせにボランティアで参加した際、海の場面で波音を表現したいと思い、電子ピアノで演奏して朗読すると子どもたちから好評だった。絵本や詩のイメージに合わせて曲を作るようになり、ピアノで演奏しながら朗読するコンサートを市内外で開いてきた。

 八幡をテーマに作曲を始めたのは、詩への興味から地元に関連する和歌を調べたのがきっかけだった。源頼朝など歴史上の人物が多くの和歌を残していることを知り、「八幡ってすごいやん」と感じた。平安時代の和歌に着想を得て曲を作ってからは「今の八幡も題材にしたい」と考えるようになった。

 市内各地を訪れ、飛行神社を創建した二宮忠八や、善法律寺の紅葉などをイメージして作曲していった。最初に公開した「背割桜」は穏やかなフレーズが続き、1.4キロにわたって約220本の桜が咲く背割堤を思い起こさせる。

 名所を探す中で初めて訪れた場所もあった。「私と同じように長い間住んでいても行ったことがない人がいる。魅力をより伝えたいと思うようになった」と振り返る。

 曲は昨秋から市内でも披露してきた。2月に開いたコンサートで松花堂庭園の四季などを題材にした「あの日の思い出」を演奏すると、来場者から「小さい時のことを思い出して涙が出そうになった」という感想があった。

 「八幡には魅力的な所がまだまだある。曲を聴いて、市民が地元に誇りを持ってくれる力になれたらうれしい」。八幡市八幡。

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