超長期国債中心に円債積み増し、リスク削減で国内株圧縮=第一生命・24年度運用計画

Tomo Uetake

[東京 23日 ロイター] - 第一生命保険は2024年度の一般勘定資産の運用に関して、中長期的なリスク削減の取り組みの一環として超長期国債を中心に円建て債券の残高を増やす計画を示した。一方、国内株はリスクコントロール目的で残高を圧縮する。

23日に開催した資産運用計画説明会で、堀川耕平運用企画部長が明らかにした。

このうち円債については、金利リスク削減を目的とした責任準備金対応債券の積み増しにより、30年債と40年債を軸とした超長期国債を中心に残高を増やす。購入のペースは、相場観を踏まえてスピードや量を機動的に変えていく。

堀川氏は「30年債利回りが2%を超えてくれば従来以上に投資妙味が出てくる」と指摘。足元の30年金利が1.95%であることについて「魅力度は大分近いところまできているが、われわれは金利先高観を持っており、全力で買いに行く水準とはちょっと違う」との見方を示した。

第一生命では日銀の金融政策について、7─10月のいずれかの会合で0.25%への追加利上げがあると想定。30年金利についても、「おおむね長期ゾーンとパラレルに、緩やかな上昇をみている」という。

一方、為替ヘッジコストの高止まりが収益を圧迫する中、同社はヘッジ付き外貨建て債券の残高を前年度に続いて圧縮する。削減規模について、堀川氏は「22─23年度のように兆円単位で減らすと残高がゼロになってしまうので、そこまではいかない」と述べ、減少幅は前年度実績を下回るとの見通しを示した。

第一生命では、経済価値ベースの資本充足率の安定性を高めるため、超長期の円債積み増しと国内株式の売却を両輪に市場関連リスク削減に取り組んできたが、このところの株高で保有銘柄の時価が上昇し、株式リスクが大きく増加。このため、今年度スタートの新中期経営計画では国内株を3年間で1.2兆円(時価ベースで30%相当)削減する方針を掲げて、株式リスクの削減ペースを加速する。

これにより国内株式の残高は減少する一方、外国株式の増減はリスク許容度や株価水準次第だという。

このほか、収益力向上の取り組みの柱となるオルタナティブ資産は、前年度に続き残高を積やす計画。このうちヘッジファンドはポートフォリオ全体のリスク分散につながる戦略を選択して投資、プライベートエクイティは収益力向上を目指してバイアウトファンド・ベンチャーファンド、またリアルアセットへの投資を強化する。不動産も、用途分散を目的とした新規投資や入れ替えにより、残高を増加させる方針。

第一生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で33兆9993億円。うち外貨建て資産は4兆5956億円(13.5%)。

2024年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.70―1.50%(年度末1.30%)

米国債10年物利回り 3.50―5.50%(同4.25%)

日経平均株価 3万3000―4万5000円(同4万1500円)

NYダウ 3万3000─4万5000ドル(同4万2000ドル)

ドル/円 135―165円 (同145円)

(植竹知子)

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