“涙しかなかった場所”に笑顔を…南相馬市に「巨大菜の花迷路」 福島

東日本大震災で津波の被害を受けた福島県南相馬市原町区に、今年も巨大な菜の花迷路が完成しました。毎年およそ1万人が訪れる人気スポットとなっていますが、この迷路には津波で家族を亡くした男性の”ある願い”が込められています。

東日本大震災・原発事故から13年。震災の影響を色濃く受けたこの場所に、今年も菜の花が咲きました。

阿部真奈記者「南相馬市では見頃を迎えた菜の花が一面に広がっています。週末には多くの親子連れで賑わうということです」

南相馬市原町区の萱浜地区に、4月20日にオープンした「巨大な菜の花迷路」。毎年およそ1万人が訪れる人気スポットです。

この迷路を作ったのは、この地区に住む上野敬幸さんです。上野さんは13年前、震災の津波で両親と、当時8歳だった長女の永吏可ちゃん、長男の倖太郎くんを亡くしました。

「被災地に笑顔を取り戻したい」

上野さんは、がれきが散乱した畑を整地し、2013年からボランティアの仲間とともに、この菜の花迷路を作り始めました。

菜の花迷路の広さは3ヘクタール。今年は暖かい日が続いたことから例年より1週間早く花が咲き始め、大型連休を前にいま一番の見頃を迎えています。

上野敬幸さん「津波が来て涙しかなかった場所、そういう沿岸部にこそ笑顔が戻ってくれるのが一番亡くなった人たちも安心すると思うし(亡くなった人たちが)見てくれているんだろうなと思ってやっています」

菜の花迷路は入場無料で、5月5日ごろまで楽しむことができ、土曜、日曜、祝日にはゴールした子どもにプレゼントを用意しているということです。

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