5年前の世界一メンバーの「生き残り」はたった3人.だが..低迷中のナショナルズに差し込む希望の光<SLUGGER>

4月19日~21日(現地)にかけて、ナショナルズがアストロズとの3連戦で「2019年ワールドチャンピオン5周年記念セレモニーを開催」と題して数々のイベントを開催。当時の優勝メンバーが再集結した。

チームの顔だったライアン・ジマーマンをはじめ、アニバル・サンチェス、アダム・イートン、ショーン・ドゥーリトル、登場曲『ベイビー・シャーク”』が話題となり、のちに巨人でもプレーしたヘラルド・パーラ(現ナショナルズ一塁コーチ)、カート・スズキといったV戦士たちがQ&Aや始球式に参加してファンの歓声を浴びた。

ベテラン中心のチームだったこともあり、5年前の優勝メンバーで今もチームに残っているのはパトリック・コービン、タナー・レイニー、ビクター・ロブレスの3人のみ。アンソニー・レンドーンは世界一直後にFAでチームを去り、マックス・シャーザーとトレイ・ターナーは21年夏、フアン・ソトは22年夏のトレードで放出された。19年のワールドシリーズでMVPに輝いたスティーブン・ストラスバーグもつい先日、正式に現役引退を表明した。

実力者が次々と抜けたチームは、歓喜の翌年から4年連続地区最下位と低迷。5年前の頂上決戦で激突し、今回の3連戦でも対戦したアストロズが17年から7年連続リーグ優勝決定シリーズまで進出している。それを思えば、ナショナルズの現状には一抹の寂しさを感じずにはいられない。

もっとも、低迷が続く中で希望の光が差し込んでいる。今季はCJ・エイブラムスとルイス・ガルシアJr.の若き二遊間コンビが開幕から絶好調。アストロズとの3連戦にも2勝1敗と勝ち越し、ここまで10勝11敗と予想以上の健闘を見せている。 しかも、マイナー組織にはメジャー昇格間近のトップ・プロスペクトが複数控えている。2年前の夏にフアン・ソトをパドレスに所移した際に得たジェームズ・ウッド、昨年のドラフト全体2位指名で入団したディラン・クルーズの外野手2人は、早ければ今季前半戦中にもメジャーに上がってくるとみられている。

MLBの大半のチームは4~5年周期で「再建モード」→「勝負モード」→「再建モード」を繰り返す。ナショナルズの1年前に圧倒的な強さで頂点に立ったレッドソックスも、当時の世界一メンバーで今もチームに残っているのはラファエル・デバースしかいない。逆に、数年まで低迷のどん底にあったオリオールズは相次ぐ若手選手の台頭でアメリカン・リーグの覇権を握ろうかという勢いだ。

FAやトレードで目まぐるしいほど選手が入れ替わる中、各チームは長期的視野に立って次の「勝負の時」をうかがう。19年の歓喜からしばらく雌伏の時を過ごしてきたナショナルズだが、再浮上の時期はもう間近に迫っている。

構成●SLUGGER編集部

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