SixTONES、360度ステージに込められた音楽に懸ける6人の魂 VVS級のバイブス放った東京ドーム公演

「あっという間だぞ! 覚悟しろ!」「360度死角ナシ !SixTONESの音楽と魂を受け取って」ーー今年2月からスタートしたSixTONES初の4大ドームツアー『SixTONES LIVE TOUR 2024「VVS」』が、4月22日の東京ドーム公演で幕を閉じた。京セラドーム大阪を皮切りに、福岡、愛知、東京の4カ所で10公演、51万5000人を動員。今回は360度ステージをはじめ、生バンドにデコトラなど、SixTONESだからこそのド派手なステージで魅了した。本稿では4月22日に開催されたツアーのラストを飾った東京ドーム最終公演をレポートする。

会場のど真ん中には、360度客席を見渡せるセンターステージを設置。暗転した会場にズドンと大きな音が響き、轟音と連動して赤い照明とフラッシュのような強い光が会場を照らす。ステージ上のモニターには「VVS SixTONES」の文字。さらにジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の順にメンバーの名前が表示されると、会場からはさらに大きな歓声があがった。

メンバーカラーの6色の光と共に、センターステージから6方向に伸びたアームの先端に設置された「ロックレーン」からメンバーが登場。ロックレーンとはSixTONESが命名した機構で、音楽の「ROCK」とSixTONESのグループ名の由来である“石(ストーン)”の「ROCK」、Sixの「6(ロク)」と、機構の「クレーン」を掛け合わせた造語だという。「アンセム」特有のグルーヴ感と、のっけから会場上段の客席にメンバーが姿を見せたことで、東京ドームは再び悲鳴のような歓声に包まれた。また、オーディエンスが歌詞の〈GO〉にあわせて高々とペンライトを掲げるなど、1曲目からノリが良い。フードをかぶった京本が、歌詞の〈邪魔者〉にあわせて魔法をかけるようにステッキを振ったほか、ジェシーがいつにも増して声を弾ませながら歌唱。松村は疾走感に溢れる音の中で、清涼感ある歌声を響かせた。ジェシーが「東京ー! 声出していこうぜ、Put your hands up!」と煽るとメンバーも拳を高らかに挙げ、会場の熱気は早くも最高潮に。森本も激しく体を揺らすなど、1曲目、それもクレーン上とは思えない熱気をまとっていた。

「Rollin'」では、高々と吹き上がる噴水に光が反射。楽曲の進行と共に会場が赤く染まった。クレーンが下がるにつれてペンライトの揺れもより一層激しさを増す。髙地の「Hey東京ー!」「ラストだぞ! 声出せるか!」の叫びに大歓声で返すオーディエンス。京本は歌詞の〈廻る世界〉を〈SixTONESの世界〉にアレンジして沸かせたほか、田中は自身の胸ぐらを掴んで情熱的な歌唱を。松村もマイクを上下に激しく揺らすなど、それぞれのスタイルで歌い上げた。

そして、森本の雄叫びなくしては始まらない「Outrageous」へ。サビ前でジェシーは手をくるくると回す。舞うようなダンスと連動して激しく揺れる衣装。森本のジャケットから覗くグリーンの裏地と笑顔が絶妙なエッセンスに。前後に大きく揺れるペンライトの大波が象徴するように、6人と5万5千人の一体感が生まれた。

「ABARERO -Dark Electro Rock Remix-」では360度ステージの支柱から斜めに噴き出す炎と共にパフォーマンス。さっきまでの清涼感ある歌唱から一変、松村は巻き舌気味に荒々しさをまとった歌声を響かせる。ジェシーが「騒げー!」と叫んで、「3、2、1」とカウントすると、メンバーが6方向に伸びる花道へと飛び出した。

ジェシーが「ジェシーのSixTONESです、逆だね!」と挨拶。「ぶちかまそうぜー! 右向き、左向き、ムッキムキ」に合わせて、会場も「ムッキムキ」と声を張る。京本は自身が主演を務めるドラマ『お迎え渋谷くん』(カンテレ・フジテレビ系)で演じている渋谷大海を再現。「最終日だぞ! 俺たちSixTONESと音楽でぶつかりあう準備できてんのかい? かかってこれるのかい?」と煽った上に、「やれるもんならやってみな」と“あっかんべー”。続いて「いらっしゃいませー!」と迎えたのが松村。掛け声を出すのが照れくさいというオーディエンスを気遣い、「(声は)ちっちゃめで大丈夫」と敷居を下げる。両手を広げる森本は「ドーーム!」と高らかに叫び、「音楽、感じてね。この音ちゃんと聴いてね、リズム覚えてね」と、右足でリズムをとりながらオーディエンスをリード。「体感時間、あっという間だぞ! 覚悟しろ! このライブ、半端ないからね!」と力強いコメントを添えた。髙地は、「今日ラストだぞ、バイブス上がってるか!?」と煽り、「360度死角ナシ! SixTONESの音楽と魂を受け取って帰ってください!」と挨拶。最後にオーディエンスの声に耳を澄ます田中は両手を耳に当て、「まだまだ」と言わんばかりに首を傾げる。「今日は360度、上から下まで誰一人気抜くなよ!」と強く語ると、割れんばかりの歓声が響いた。

今回のツアーは、バンドによる生演奏も魅力の一つ。バンドメンバーが一人ずつスポットライトを浴び、彼らが奏でる重厚感溢れる音によって、よりディープな世界へとオーディエンスを誘う。

暗転した会場を照らすブルーの光、そこにスモークが立ち込め怪しげなムードに。ビジューのジャケットなど、ドレスアップしたメンバーが届けるのは「Hysteria -Rock Rearrange-」。楽曲が進むにつれてメンバーの歌声は色気を増す。ゆっくりと首筋をなぞる京本。開襟から伸びる白い布をひらりとなびかせる松村。デビュー前からの楽曲が“Rock Rearrange”によって披露されることで、さらにドラマチックな雰囲気が増していた。

世界観をそのままに「君がいない」では、ジェシーがステージセットのソファに脚を投げるようにしてスタート。髙地が〈君がいない〉をライブならではの歌い方で聴かせた。モニターにはモノクロ映像が流れ、まるで映画のよう。カメラにキスをするように近づいた森本と田中。田中はさらに舌を出して挑発的な表情を見せると、またしても悲鳴のような歓声に会場は包まれた。そのテンションのまま「Alright」へ。続く「House of Cards」では、ジェシーのしっとりとした歌唱を皮切りに、森本はさっきまでの甘い歌声を今度は悲しげに響かせ、松村はメガネをかけて胸元をなぞる。噴水の演出も手伝って幻想的な世界観で魅了した。

会場をピンクとグリーンに染めたのは京本と森本のユニット曲「希望の唄」。2人ともバンドメンバーと笑顔で歌唱したり、リズミカルに跳ねてみたり。2人してソファからジャンプして、最後はハグで終えた。「"Laugh" In the LIFE」からはトロッコで会場をくまなく回った。「フィギュア」「PARTY PEOPLE」とさらに賑やかさを増し、SixTONESのライブにおいて象徴的な楽曲「S.I.X」へ。燃えるような赤い照明など、光の演出に包まれながらオーディエンスのクラップが鳴り響いた。

イントロから大歓声の「DRAMA」では、ピンク色の照明とスモークに包まれた田中がリードしていく。笑みを浮かべる松村に挑発する京本。“きょもほく”の距離感にまたしても会場は沸く。「JAPONICA STYLE」ではフォーメーションをくるくると変え、リズミカルでありながらも貫禄と迫力のあるステージに。噴水と大量の紙吹雪が舞う絢爛豪華なステージとなった。

MCでは松村が「これがオーラスってやつか?」と言えば、田中が「これ、10公演目ですか?」としみじみ振り返り、会場からは拍手が。京本は「この前半戦、もうやらないんでしょ? 嫌なんだけど」とこぼすと、ジェシーが「また来年やればいいじゃん」と提案。田中が「もしどうしても今年の(ツアー)が終わるの寂しくて。来年全く同じのやっても、みんな盛り上がってくれる?」と尋ねると、オーディエンスは歓迎ムード。森本は「入場も退場も早めにいけるからMCを30分くらい伸ばせる」と笑いを誘った。

ジェシーの呼びかけで、レディースに続きメンズに呼びかけると太い声が響いた。さらに子どもに呼びかけると、松村が「何歳からこの重低音聴かせていいんだろうね?」と疑問をぶつける。ここからさらにトークが盛り上がり、田中が「大人になったときに、そんじょそこらの楽曲じゃ満足できない」、「ここに響かない」と胸に指を当てながら語ると、松村も「小学校に入学して初めて校歌習った瞬間に『え、ぬるくない?』」と想像力に溢れるトークを展開。松村が「あとは俺らが何歳までこういう音楽をやってるかだよね」と続けると、田中は「俺、60くらいまで引っ張るよ!」のコメントには拍手が。その後もダンスやモノマネへとなだれ込み、最終的に自分たちのMCは楽屋の会話だと自虐的にコメント。飾らない会話で楽しませた。

そこからスタートしたライブ後半では、「Call me」「マスカラ」をアコースティックバージョンで披露。さっきまでの賑やかなトークが嘘だったかのように、じっくりと楽曲に酔いしれる時間になった。田中と松村が会話をしながら2人のユニット曲「スーパーボーイ」へと繋げ、ステージのへりに座る松村と、その隣にしゃがみこむ田中。白とブルーの光が揺らめく中、時には歩きながら歌唱するなど、終始ラフな空気で歌唱が続いた。

「Need you」ではストリートの雰囲気を感じる衣装にチェンジ。ステージ上にはシャンデリアのような照明とスモーク。「TOP SECRET」「WHY NOT」とさらに会場を盛り上げるような楽曲が並んだ。そしてジェシーと髙地のユニット曲「Blue Days」では会場が赤と黄色のペンライトに照らされ、まるで夕焼けのよう。曲が進むにつれて、気がつけば髙地のマイクでジェシーが歌う距離感の2人。モニターにはメッセージを強調するようにリリックが映し出されていた。

暗転し、カメラのフラッシュのように会場には強い光が放たれ、天井から無数の放射線状に注ぐ光と音でさらにディープな世界へ。メンバーがデコトラに乗って登場し、「DON-DON-DON」「RAM-PAM-PAM」「Bang Bang Bangin'」を披露。派手な電飾に負けることなくデコトラを揺らしながら会場を回ったほか、ステージには何発もの炎が放たれ、圧倒していった。

「Something from Nothing」で、京本はしゃがみこみそうなほどに体を倒して歌い、田中も感情をぶつけるように熱唱し、メンバー全員がありったけのパワーを出すように全身で歌い上げた。「Telephone 1ST ver.」から「BE CRAZY -Rock Rearrange-」と慣れ親しんだ楽曲もアレンジによってパワーアップ。「Seize The Day」では会場の隅々まで届けようという熱いパフォーマンスに加えて、ジェスチャーでも伝えるように体を揺らしたり、感慨深い様子で客席を眺めたり。センターステージに再び集結したメンバーは、向き合って笑顔でサムズアップ。そして「こっから」へ。回転するステージで歌いながら緩急あるステップを踏む。最後はメンバーが肩を組んでぱっと姿を消し、森本の言葉通り「あっという間」に本編は終了。

すかさずSixTONESコールが響く会場に答えてツアーステッカーをそれぞれに貼ったツアーTシャツを着たメンバーが登場。「Good Luck!」ではファンも一緒に歌唱しながらペンライトを振ったほか、ライブの定番曲「この星のHIKARI」でも大合唱。「WHIP THAT」で盛り上がったあとは、5月1日に発売される最新シングルより「音色」を初披露。最後はジェシーの合図による「ズドン」コールで締めくくった。

しかしここで、スタッフからのサプライズが。「お前らがどうしてもやりたいって言った360°ステージは楽しめたか?」から始まるメッセージが出現。MCの長さにツッコミを入れつつも、結びには「また一緒にTOURやろうね!大好きだぞ!!」と愛情たっぷり。メッセージを見たメンバーは感慨深い様子で、「team SixTONESって最高だね!」と口にし、髙地が「次は5大ドームツアー」と言えば、森本も「スタジアムで!」と夢を語る。会場に大きく手を振った田中、なぜかシャドウボクシングを繰り出す森本など、名残惜しそうにステージを後にした。最後に、胸に手をあて、ふーっと呼吸を整えたジェシーは声を変えながらカメラに拳を見せるなど、最後の最後までユーモアに溢れていた。

『VVS』と掲げた今回のツアー。タイトルの由来は、ダイヤモンドの透明度のグレードを表し、高級・高価という意味を持つ「VVS」と、今年1月にリリースしたアルバム『THE VIBES』を絡めて「SixTONESのVIBESは“VVS”である」という意味を込めたという。

その名の通り、オーディエンスはもちろん、バンドメンバーが奏でる弾むような音色からも喜びが伝わり、スタッフも最後に熱いメッセージをサプライズするなど、あらゆる場面で高いバイブスを感じた。これは最初から最後まで圧倒的な熱量を注いでステージに立ち、バイブスを惜しみなく詰め込み、注ぎ込んだSixTONESの6人が牽引したものだ。

京本がMCでも触れたように、今回のツアーもセットリストに唸った。新旧問わない選曲で、昔を懐かしむのではなくアレンジによって魅力が増大。これもSixTONESの音楽に触れる醍醐味であり、ライブならではの贅沢な時間だった。

そして、本編ラストの「こっから」では全てをポジティブな世界観で包み込み、ただならぬ高揚感と熱気に満ちた気持ちのいい余韻を残した。森本主演ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)の主題歌としてリリースされた「こっから」には、森本の俳優としての奮闘をはじめ、音楽番組等で見せたメンバー全員の気迫に満ちた渾身のパフォーマンス、YouTubeにて公開されたMVはSixTONESとして初めて1億回再生を突破するなど、いくつものエピソードが重なっている。そして歌詞の〈こっから始まんだ〉という言葉を体現するかのように、セットリストの本編の最後かつツアー最終日という状況で、さらに自らを追い込むような激しいパフォーマンスをやってのける。その姿は、胸に迫るものがあった。

ハードな振り付けやフォーメーションのチェンジ、移動も多い中で、汗を流し、息を切らし、東京3Daysを駆け抜けた勲章のような少しガラついた声で歌い、時には呼吸を整えるような姿も。満身創痍だとしても、ここでやらなきゃいつやるのか、と言わんばかりに全身全霊でありったけのパワーをこのステージで出し切ろうとする気迫を感じた。

誤魔化しも替えもきかないSixTONESの6人による、これぞ“ライブ”なパフォーマンス。パンフレットによれば6人が譲らずにステージを手がけたという。アイドルグループとして自分たちのスタイルで魅せるライブとは、SixTONESの音楽とはーーライブで生まれるバイブスだからこそ伝わるメッセージを、人々の目に耳に焼きつけ、心に刻み込むようなライブだった。

(文=柚月裕実)

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