スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国に情報提供

[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツ連邦検察庁は23日、中国の情報機関のためにスパイ活動を行ったとして、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」所属の欧州議会議員のスタッフを逮捕したと発表した。

逮捕されたのはマクシミリアン・クラー欧州議員のスタッフ。欧州議会の協議と決定に関する情報を中国の情報機関に提供していたという。

このスタッフはブリュッセルとドイツのドレスデンに在住。検察庁によると、ドイツ国内の反中国派に対するスパイ活動も行っており、22日にドレスデンで逮捕された。

検察庁は「外国の情報機関のために働いた特に深刻なケース」としている。

フェーザー内相は、事実であれば「欧州の民主主義に対する内部からの攻撃だ」とし「そのようなスタッフを雇った人間にも責任がある」とし、徹底的に調査すると述べた。

昨年4月にクラー議員は、このスタッフが中国のためにロビー活動を行っているとの欧州誌「ザ・ヨーロピアン・コンサバティブ」の批判に反論していた。同議員は当時「私に対する新たな中傷記事だ。中国生まれのスタッフに関する記事だが、彼はドイツ市民でAfDの党員でドレスデンで学び、流ちょうなドイツ語と英語を話す。うそだらけだ」とXに投稿していた。

AfDの報道官は逮捕について「非常に気掛かりだ。捜査を支援するためあらゆることをする」と述べた。

中国外務省報道官は23日の会見で、中国が欧州でスパイ活動を行っているとの最近の報道について「中国の信用に傷を付け、中国を抑圧する意図がある」とし「中国のスパイ活動の脅威という偽情報の拡散を止めるよう関係者に求める」と述べた。

ドイツでは同じ22日に、中国の情報機関と連携し軍事転用が可能な技術情報を中国に提供した疑いで、ドイツ国籍の3人が逮捕されている。

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