嵐、独立説が消滅したワケ…「旧ジャニーズの呪縛」から逃れられず?

一部で独立計画が報じられていた嵐が、STARTO ENTERTAINMENTとグループエージェント契約を結んだことを発表した。「グループごと独立してほしい」という声もあっただけに、ファンの間では賛否が起きている。

今月19日、嵐がメンバー5人で設立した新会社「株式会社嵐」の代表取締役で弁護士の四宮隆史氏が、自身のX(旧Twitter)で「株式会社STARTO ENTERTAINMENTとグループエージェント契約を締結した旨、STARTO社のサイト上で公表されたことをご報告いたします」と発表。STARTO社の公式サイトでは、嵐のグループ名の下に「グループエージェント契約」の記載が追加された。これはSTARTO社においてはTOKIOに続いて2組目となる。

嵐をめぐっては、同日に「デイリー新潮」(新潮社)が「嵐『株式会社嵐』設立は独立への布石 四宮新社長に期待されている重要な役割とは」と題して独立説を報道。記事によると、秋にデビュー25周年コンサートを開催し、それを済ませたらすでに退所している二宮和也に続き、他のメンバー4人も独立する計画だと伝えられた。さらに、同記事ではメンバーたちがエンタメ系の法律問題に強い四宮氏を頼ったのは「独立時に楽曲の原盤権やファンクラブの譲渡条件をめぐって意見の相違も予想されるため」などとしている。

グループエージェント契約締結の発表は、この報道を否定する意味合いがあったと考えられそうだ。メンバーが個人で独立するという形はあるかもしれないが、少なくとも当面「嵐」というグループはSTARTO社に属することが確定したといえる。

これに対して、ネット上のファンからは「思いきった決断を期待していたけど、結局は旧ジャニーズから離れられないのか」「権利関係があるからSTARTO社とは切っても切れないところがあるんだろうな」「新会社作ったのに、これじゃ以前と何も変わらない」などと落胆めいた声が相次いでいる。

その一方で「とにかく嵐が今後も存続すると分かったのはよかった」「5人がグループの未来を考えてくれているからこその契約だと思う」「何かしらのつながりを残しておかないとグループ名も曲も使えなくなるから仕方ない」と理解を示す意見もあり、賛否両論となっているようだ。

旧ジャニーズ時代の権利関係については、既存楽曲の原盤権などはSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)がブライト・ノート・ミュージック(旧ジャニーズ出版)と共同で変わらずに保有。SMILE-UP.の保有比率は段階的に縮小していくというが、新たに発生した楽曲などの権利はSTARTO社とブライト社が共同保有する予定で、旧ジャニーズの関連会社だったブライト社が著作権管理において大きな役割を担うことになる。

SMILE-UP.の代表取締役で旧ジャニーズ創業家の藤島ジュリー景子氏は、性加害問題が大きく騒がれた当時に「すべての関係会社からも代表取締役を降ります」と宣言したが、19日付の朝日新聞によると、ジュリー氏は現在もブライト社の代表取締役会長を務め、ほぼすべての株式を保有しているという。現状、楽曲などの権利は「今も旧ジャニーズが握っている」と見られても仕方ない状況だ。

また、ファンクラブについてもSTARTO社とライセンス契約を結ぶ形でSMILE-UP.が運営を継続。嵐のファンクラブは年間に120億円規模の収入を生み出すといわれているが、これも旧ジャニーズが利権を握ったままと見ざるを得ない。

さらにグループ名については、KinKi Kidsの堂本光一が、3月いっぱいで独立した相方の堂本剛に続いて自分も退所したら「KinKi Kidsという名前が使えなくなる」と明言。どこが権利を持っているのかは不明だが、嵐も同様だとみられる。

メンバーたちが独立を望んでいるのかどうかは憶測の域を出ない話だが、もし現段階で完全独立すればグループ名、ファンクラブ、これまで楽曲のすべてを失うことになるのは間違いなさそうだ。となると、グループごと独立という選択肢は現実的ではなくなる。

嵐の再始動のタイミングに関しては、先述の「新潮」記事では「秋にコンサート開催」「すでに会場を押さえている」と報じられたが、メンバーの松本潤が主演する舞台が7月から10月にかけて東京、北九州、大阪で上演され、さらに10月31日~11月2日にはロンドン公演もあることから、有力視されていたデビュー記念日「11月3日」のコンサート開催はほぼ可能性が消滅した。コンサート演出も手がける松本が舞台出演で忙しいとなると「秋に開催」というのも難しいとみられ、業界内では「現実的には来春くらいでは」といった声が飛び交っている。

グループ活動再開の可能性は徐々に高まってきたが、旧ジャニーズの「呪縛」からは逃れられない運命にありそうで、ファンとしては複雑な思いを抱える人も多そうだ。

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