バイエルンの一強支配が終焉!レジェンドが胸中を告白「そもそも11連覇も棚ボタだったんだ」【独占インタビュー後編】

2012-13シーズンから11連覇していたバイエルンのブンデスリーガ一強支配が終焉した。開幕から無敗の快進撃を繰り広げるレバークーゼンに勝点16差をつけられ、5試合を残しながらも王座を奪われてしまった。バイエルンに足りないもの、不満を感じる部分、あるいは期待したいことは何か。クラブレジェンドのクラウス・アウゲンターラーが腹蔵なく語ってくれた。【ワールドサッカーダイジェスト3月21日号より転載】

――今シーズンのバイエルンについて伺います。ブンデスリーガ12連覇の展望は厳しく、チャンピオンズリ―グのラウンド・オブ16ではラツィオに遅れを取りました(第1レグ/アウェーで0-1)。問題はどこに?

昨日今日の話ではない。ずいぶん前からの積み重ねの結果が公式戦3連敗だ(※このインタビューは4試合ぶりの勝利を飾った23節、RBライプツィヒ戦前に実施した)。今日の試合を(連敗脱出の)ターニングポイントにすべきだし、少なくともラツィオにはしっかり勝利して、準々決勝へと勝ち進まなければならない。ブンデスリーガ優勝に関しては「ない」だろう。

――ちょうど次に「連覇の可能性」を伺うつもりでした。

可能性か。1パーセントくらいだな(笑)。そもそも11連覇も棚ボタだったんだ。首位ドルトムントが最終節のマインツ戦で勝点3を取りこぼし、われわれに王座をプレゼントしてくれたのだからね。あの逆転優勝を信じた当事者はいなかった。今シーズンはレバークーゼンとの頂上決戦(21節)で敗れ、勝点差は現時点で11まで広がっている。バイエルンは全試合に勝たなければならないが、レバークーゼンが乗りに乗っている状況だ。昨日の試合(マインツ戦)の決勝点からもわかるように、彼らは運も味方につけている。あの決勝点はマインツGKのイージーミスでしかないからな。

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――さきほど、ディフェンスラインと中盤に関するリーダーの話が出ました。では、ノイアーやミュラーの後継者として期待している新たなチームリーダー候補は?

良い質問だ。個人的にはデ・リフトとウパメカノに期待している。選手としてのクオリティは申し分がないし、現役時代の私よりも優秀だ。とくにウパメカノには期待していてね。スピードがあって、ヘディングも強い。ただ、ミスが多い。大きな期待を、あるいはプレッシャーに感じているのかもしれないな。これはあくまで推測だが、パートナーがなかなか定まらないことも、彼にとってはプラスに働いていないだろう。

――相棒候補はデ・リフトに加え、キム・ミンジェ、さらには冬に加入したエリック・ダイアーもいます。それから怪我人の影響もありますね。

その通りだが、守備陣は固定メンバーで練習して、試合の経験を重ねていくべきだ。そうすることで自分がいるべきポジション、すべき仕事を瞬時に掴めるようになるわけだ。それから4バック、3バックとコロコロ変えていたら、選手たちは不安に駆られるもの。いまのように結果が出ていない時期はとくにだ。

――ドイツ代表の話も少し伺わせてください。トニ・クロースの復帰宣言をどう受け止めましたか?

クロースが戻るだけで、(停滞中の)ドイツ代表が劇的に強くなるとは思えない。

――では、今年のEM(Europameisterschaft=欧州選手権の略称)で、ドイツ代表に何を期待していますか?

ドイツ代表もバイエルンと似ていて、(これまでの不甲斐なさを払拭するような)リアクションを見せなければいけない。それにドイツは開催国だ。ホストカントリーの選手として、一人ひとりがアクセルペダルを強く踏まなければならない。

■Klaus AUGENTHALER(クラウス・アウゲンターラー)
18歳の時にバイエルンのユースに加入すると、77年にブンデスリーガデビュー。スイーパーとしてメキメキと頭角を現わし、7度のブンデスリーガ優勝や3度のDFBポカール制覇に貢献した。非凡なリーダーシップを備えた主将としても知られ、90年には西ドイツのW杯優勝にも寄与している。91年の引退後は、バイエルンのコーチを皮切りに、レバークーゼンやヴォルフスブルクなどの監督を歴任。近年はバイエルンの国際ユースプロジェクトに携わるなど、古巣のアンバサダー的な役割を担っている。愛称は「アウゲ」(目の意)。1957年5月26日生まれ。

取材・文●遠藤孝輔(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
協力●FCバイエルン・ミュンヘン、円賀貴子

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