飲めばふるさとを思い出す 地元産レモンで作る「レモネード」 末永く愛される味を目指して

長崎の知られざる街の魅力を発掘し、おすすめのグルメを県内21市町をめぐりながら、シリーズで紹介する。カステラ・ちゃんぽん・皿うどんだけではない、長崎には脈々と受け継がれた味がある。きっとあなたも食べたくなるはず。

長与町で注目!「レモネード」

約4万人が暮らす、長崎県の西彼杵郡・長与町。長崎市中心部からは約10km離れたベッドタウンだ。そんな長与町で注目したのは「レモネード」。長崎でもあまり広く知られてはいないが、長与町は県内有数のレモンの産地だ。

2022年の統計で長崎県は、レモンの出荷量が全国10位を誇っているが、長与町は県内3番目の収穫量で、町の特産品にもなっている。

オリジナルブレンドや限定レモネードも

桜が見ごろを迎えた2024年3月末、長与町の中尾城公園で販売されていたのは長与産のレモンを使った2種類のレモネードだ。

甘味の強い「マイヤーレモン」と酸味が強い「リスボン」の2種類をブレンドしたものや…。

春限定の桃とグレープフルーツのシロップを合わせたものだ。

飲んだ人:
おいしい。レモンの香りと風味が強い。晴れた日に飲むのが最高。レモンの味とはちみつの味が出ている。いつも飲んでいるが飽きない

町の特産をその町で味わってほしい

レモネードをつくったのは、長与町でカフェを経営する江口雅志さん。

ボーダーレスラウンジ長与・江口雅志さん:
地元の方にも知っていただいている。この土地で生まれたものをこの場所で飲んでいただくとおいしいと思って出している

出荷量全国10位の長崎県内で3番目の生産量を誇る長与町。生産量が増えたことの理由として、全国的に防カビ剤を使用しない国産レモンの需要が高まったことや、収入を拡大しようと栽培する農家が増えたことなどがあげられる。

江口さんは福岡の飲食店で働いていた経験を生かし、飲めば長与町を思い出すふるさとの味を作りたいと話す。

江口さんのこだわりはレモンを余すことなく!色や形などで「規格外」となったものを使い、ひとつひとつ丁寧にカットし皮ごと炊きこむ。

ボーダーレスラウンジ長与・江口雅志さん:
2000kgのレモンを切った。あと400kgぐらい残ってる。まだ食べられる規格外の、大きなものや小さいものを使っている。農家にとっても無駄がないと思う

皮ごと1時間炊きこむと、甘さだけでなくほのかな苦みも生まれるが、火を止めるのが遅すぎると渋みが出る。

絶妙なタイミングは江口さんだけが知っている。

ボーダーレスラウンジ長与・江口雅志さん:
全国にたくさん広げたいというよりも、長崎を中心に手に取ってくれた方が10年20年長く商品を愛してくれて、「大人になっても飲んでいます。子供に飲ませています」と、そういう部分まで見られたら生産者冥利につきるし、うれしい

江口さんは大人から子供まで親しみやすい味にしようとシロップでの販売にした。自分好みの甘さに調整できる。

地元の人に愛されるレモネードを目指して。江口さんの挑戦は続く。

こんなまちメモ

<長与町>長崎市北部の大村湾に面した町で、特産品のみかんをはじめ、いちじく、オリーブ、レモンなどが栽培される自然豊かな場所。長崎県内の町としては最大の人口を抱えており、中心部を流れる長与川や丘陵沿いには団地が立ち並ぶベッドタウンでもある。(2020年国勢調査速報値より)

(テレビ長崎)

© FNNプライムオンライン