【解説】被災地復旧のヤマ場”GW” 支援のカギは災害ボランティアの宿泊場所

市川 栞キャスター:

「北國新聞論説委員の野口強さんとお伝えします。きょうはどんな話題でしょうか」

北国新聞論説委員・野口 強さん:

「週末から、いよいよ大型連休が始まります」

市川:

「多い人は10連休という人もいますよね」

野口:

「北陸新幹線が敦賀開業し、北陸にも、どっと観光客が訪れると期待されますが、能登半島地震の被災地に目を向けると、災害ボランティアの活動や仮設住宅への入居が一気に進み、復旧・復興を勢いづける大きなヤマ場を迎えそうです」

「きょうのテーマは、能登の復興支援カギ握る大型連休」

「ボランティア活動については、3月末までの3か月間に、社会福祉協議会を通じて被災地に派遣されたのは延べ4万6千人余りです」

市川:

「同じ3カ月間で比較すると、熊本地震の約10万人、東日本大震災の約44万人と比べて、かなり少ないといわれましたね」

野口:

「被災地に向かう主な道路が損壊し、10時間かけて到着し2時間作業して帰る状況が続いたり、2次避難の長期化で、ボランティア活動に必要な、被災者の意思確認が難航したことも壁になった」

市川:

「ただ、16日現在では、ボランティアの参加が延べ6万6千人に増えていて、連休は、学生なども参加できそうですね」

野口:

「今後は、道路や建物の工事も本格化し、作業員もどんどん入ってきますから、宿泊場所を確保する必要がある」

「これまでは被災地から遠いところを拠点にするケースが多くて、作業時間が短くなりがちでしたが、近く能美市の建設業者が開発した、木造モバイル建築の仮設住宅が七尾市に設置される」

「仮設期間が終了後も再利用でき、被災地以外で組み立てて運ぶので、現地で建てる手間が省ける」

「こうした工夫で、住民や作業スタッフの拠点を確保したいですね」

「1つ目の、目からウロコです」

「”恩送り”の心で善意のリレーを」

「被災地には発生直後から、8年前に大きな地震のあった熊本から、ボランティアや行政職員が支援に入りました」

「そういった人たちからは、「恩送りをしたい」という声が聞こえてきます」

市川:

「恩返しとは違うんですか?」

野口:

「”恩返し”は、恩を受けたら、その人にお返しをするということですが、”恩送り”とは、人から受けた恩を、リレーのように別の人に送ることを言うそうです」

「熊本からは、17時間かけてキッチンカーを持ち込みごはんを振る舞った飲食店の方は、熊本地震で受けたボランティアの恩を、能登で返すという気持ちで来たと言っています」

「能登の人はやさしくて我慢強い」

「よその人に迷惑をかけるんじゃないかという気持ちが強くて、助けてもらうのが、はばかられる」

「そんな風土も、ボランティアを遠慮している底流にあるんじゃないかという指摘もあります」

「もしそうなら、受け取った支援のバトンを、いつか別の人に渡す、恩送りをする気持ちで、今は、遠慮なくボランティアを受け入れていいのではないかと思いますね」

「もう1つ、目からウロコです。復興イベント満載。楽しんで支援を」

「今年は普段の連休と違って、県内では期間中、楽しんで復興を応援する力強いイベントが目白押しです。いくつか挙げると…」

「まず輪島名物の朝市」

「地元が被災し、3月23日に金沢市の金石で出張開催した」

市川:

「県内外から会場を埋め尽くすほど大勢の人が訪れました」

野口:

「今度は3日~5日にかけて開催され、4日は金石港周辺で、前後の3日と5日は金沢駅もてなしドームの地下にブースを設ける。駅地下にもおばちゃんの掛け声が響きます」

市川:

「北陸一円で開かれるガルガンチュア音楽祭では、入場料の5%を義援金に充てるんですよね」

野口:

「能登の特産品の販売ブースを会場に設置し、要望に応じて被災地への出張コンサートも行う予定です」

「さらに3日~5日、能美市で開かれる九谷茶碗まつりは、115回の歴史で初めて、輪島塗をはじめとして、珠洲焼など能登の工芸品の販売ブースが設けられる」

「連休を生かして、こうしたイベントに参加することも、ボランティアとは一味違った支援といえるでしょうか」

「遠慮なく楽しんでいただきたいですね」

市川:

「ありがとうございました。野口さんの目からウロコでした」

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