コロナ5類移行後、山陰両県で初の国政選挙 握手や個人演説会、平常通り

有権者と握手する亀井亜紀子候補(左)と錦織功政候補

 衆院島根1区補選は、昨年5月の新型コロナウイルス5類移行後、山陰両県では初の国政選挙。自民、立憲民主両党の陣営は、感染拡大に神経をとがらせてきた直近の選挙と打って変わり、「握手あり」「個人演説会あり」の選挙を展開。風景はコロナ前に戻った。

 「どうか最後までよろしくお願いします」。22日夜に安来市内であった立候補者の個人演説会。約330人を集めた会場入り口で、候補者と応援国会議員が聴衆と固い握手を繰り返し、マスクなしの至近距離で支持を訴えた。

 コロナ禍の2021年衆院選と22年参院選は、各陣営が簡易検査キットをそろえ、街頭演説で弁士が代わるたびにマイクを消毒するなど対策に追われた。

 「感染者が出て陣営がストップするのは避けなければならなかった」と振り返るのは立憲民主党島根県連の川井弘光幹事長。建物内の個人演説会の開催は、感染者発生に備え、参加者全員の名前と連絡先を把握しなければならず、リスクと手間を考えて見送った。

 今回は両陣営とも事務所に消毒液を置くなど最低限の対策を取るものの、マスク着用は個人の判断に委ねる。22年参院選で自民候補の選挙事務所スタッフを務め、今回も党公認候補の陣営で活動する中村絢県議は「気を使わず、握手して訴えかけられるのは大きい。足かせがなくなった」と歓迎した。

 選挙実務も戻りつつある。松江市選挙管理委員会は、コロナ禍は職員がフェイスシールドや手袋を着用して厳重に対策を取り、記入用の鉛筆は回収して消毒した。今回はスタッフのマスク着用は続けるものの、鉛筆は平常通り使い回す。市選挙管理委員会の藤川祐介事務局長は「これでやっと感染に気を取られず、本来の投票行動に集中してもらえる」と話した。

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