【「歴史的」と言われる『円安』】企業が活路を見出そうと模索(宮城)

【画像】歴史的「円安」 日本酒・笹かまぼこに影響

「歴史的」と言われるほどの状況が続く為替の円安について、お伝えする。

様々な影響が広がるなか、宮城県内の企業も活路を見出そうと模索している。

創業300年。「勝山」の名で知られるこちらの酒蔵は、20年前から仙台市泉区に場所を移し、酒造りの伝統を繋いできた

国内だけでなく海外へと展開を広げるなか、今 変化が起きていると言う。

勝山酒造・伊澤社長

「実は、コロナが明けて一時期 海外輸出が落ち込んだ時期もあるんですが、すぐに円安ということもあって購買が回復しまして、今はアメリカを中心に非常にいい状態で回復しまして、結果的に言うとずっと続いてきている回復基調に間違いはないと実感しています」

新型コロナの影響で一時は落ち込んだ輸出先も、今はアメリカやヨーロッパ、東南アジアなど20以上の国と地域に広がった。

原材料や設備費用などの高騰から、商品価格も2年前と比べて2割ほど値上げに踏み切ったが、海外からは1本3万円以上する高価格帯の商品に人気が集まっている。

その結果、海外部門が占める売り上げが、今では全体の4割近くに。

伊澤社長は、この状況が円安となっている今だけでなく、日本酒にとっての将来を見据えた土台作りになればと考えている。

勝山酒造・伊澤社長

「良いお酒を飲んで、より日本酒を好きになっていただく。これが長い目で見て日本酒にとっては非常にいいことになってきますので、この円安の間は(円安を)利用しながら、より多くの方々によりよいお酒を勧めていきたいと思っています」

「(Q円安は悪くない?)そうですね、我々にとっては悪くないです」

一方、歴史的と言われるほどの円安に。事業を続けることができなくなる企業が増えている。

民間の信用調査会社「東京商工リサーチ」の発表では、2023年度に「円安」関連を理由にした倒産企業は全国で56件。その2年前は5件だったことに比べても大幅に増えていて、原材料費の高騰や物価高の影響とみられている。

宮城・塩釜市に本社を置く創業90年を迎えたかまぼこの製造会社。

円安は、仕入れ価格にダイレクトに響くという。

武田の笹かまぼこ・武田社長

「弊社は(かまぼこの原料の)すり身を非常に鮮度が高い『洋上すり身』という輸入したものを使っていますので、そこにつきましては、ここ2~3年で20パーセントぐらい値上げが続いておりますので、その辺はちょっと苦しいところかなという風に思っています」

原材料に加えて、光熱費などの経費も上がる今、活路として狙いを定めるのは「海外」だ。

この日、工場見学に訪れたのはマレーシアから訪れた団体客。

社長自ら旅行会社と掛け合い、観光地として人気が高い松島とセットにするツアーを実現した。

マレーシアからの観光客

「すごくおいしい。新鮮で食感もいい」

「(Q日本の物価は安く感じますか?)すごく感じる」

「(Qいっぱい買っちゃいますか?)ずっと買っちゃう」

「(Q円安、物価については?)コロナの前に比べると全然違う、安い」

海外からの観光客が目をとめるのは「缶詰のかまぼこ」。

災害時の備蓄品として、観光客が激減したコロナ下に日持ちするおいしいかまぼことして開発した商品は、長距離移動する海外観光客にとってもってこいのお土産品となっている。

武田の笹かまぼこ・武田社長

「(円安は)とめどないんですが、止めることはできないので、そこに順応していくしかないと思っています。

(Qこれからの好転、期待できるんですか?)自分でしていくしかないかなと思ってるので、なんとか色々考えて頑張っていきたいと思っています」

アフターコロナに押し寄せた歴史的な円安の影響。

それと向き合いながら、次の時代への活路を見出そうと動き続けている。

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