障がいある妹のため諦めずに挑戦し9歳で合格! 小学生防災士が描く助け合う地域

地域社会の防災力向上を担う役割が期待される防災士。沖縄市には去年、当時全国最年少の9歳で試験に合格した小さな防災士がいます。災害時こそみんなで助け合いたい。小さな防災士・比嘉夏希さんの大きな目標を聞きました。

比嘉夏希 さん
「(認定証をもらった時)確か開けてから、ほ~!と思って、やった!」

沖縄市立高原小学校4年生の比嘉夏希さん。去年、全国最年少記録となる9歳で、防災士の資格を取得した、県内初の「小学生防災士」です。防災士を目指したのは、コロナ禍での休校期間に触れた、クイズゲームがきっかけでした。

比嘉夏希 さん
「第1問!じゃじゃん!テレビのニュースで梅雨入りしました。じめじめとした暑い日が続きます。と言っていたよ。梅雨って何だろう?」

過去の災害について子どもにも分かりやすく解説した動画なども視聴し、防災への関心を高めていった夏希さんに、母親のリサさんは、防災士の試験を受けてみようと提案しました。しかし、ある壁が…

比嘉夏希 さん
「警報や注意報は関係…」
母・リサさん
「行政機関」
比嘉夏希 さん
「行政機関、都道府県や市町村へ配達…」
母・リサさん
「伝達」
比嘉夏希 さん
「伝達され…」

比嘉夏希 さん
「1番難しかったことが漢字。これお母さんも読めないものとかあったからどうしたらいいんだー!ってなってた」

専門的な言葉が多く登場する教本に、当時小学3年生だった夏希さんは悪戦苦闘。お母さんと言葉の意味を調べながら必死に勉強しました。それでも、夏希さんには、あきらめられない理由がありました。

防災士の夢を諦めなかった理由 それは大切な妹の存在 比嘉夏希 さん
「妹に障がいがあって自分で勉強してそれを応用して考えたら助かるかなって思った」

夏希さんの妹・梨乃さんは、災害時に介助が必要な医療的ケア児。日常的に車いすや医療器具を使っています。今月3日、沖縄地方に津波警報が発表された時、夏希さんは妹の避難の準備をしながら不安で仕方ありませんでした。

自動車避難に伴う渋滞です。夏希さんは、沖縄市の中でも津波災害警戒区域に住んでいて、津波発生時に妹の避難が遅れてしまうことを危惧しています。

比嘉夏希 さん
「(道が)でこぼことか車いす押しても行けないし、津波のときみたいに車が渋滞していたら避難も手遅れになっちゃう」
(Qそういった状況は今みんなに十分に知ってもらっていると思う?)
比嘉夏希 さん
「ううん。ほとんどの人が普通だからそんなことは、みんな自分のことを優先しちゃってるから。みんなも、障害のある子たちが困るから車は置いて避難しようって思ってほしい」

いざというときの徒歩避難を想定して、夏希さんは、日ごろから避難ルートを歩いています。自分に歩ける体力があるか、道路上に障害物がないか、何回も観察するのです。

小さな防災士が描く夢 「助け合える地域社会」目指して 比嘉夏希 さん
「目の見えない人とか落ちちゃうかもしれないし、デコボコだから。(道路の)ひび割れからも草とかが生えてる」
(Qどのような影響がある?)
比嘉夏希 さん
「避難しているときにガタゴトなったり。車いす押していたら、ガタゴトなっちゃったり」

見つけた問題点を、防災マップで示しながら地域の自治会長へ伝えます。

比嘉夏希 さん
「草もぼーぼーしていた」
沖縄市 大里自治会長 島袋厚子さん
「足に当たるよね」
比嘉夏希 さん
「結構背が高かったから体にもあたった」
沖縄市 大里自治会長 島袋厚子さん
「小さい子どもだとね」

沖縄市 大里自治会長 島袋厚子さん
「こういう小さいお子さんでも防災に関心を持っているということを周囲の方々に周知して、自分たちもちゃんと意識しないといけないなっていうチャンスになってくれると思います。(地域の)リーダーとして育ってくれたらいいなと思っています」

学んだ知識を家族や地域の防災に生かしていきたい。災害時に地域で助け合える環境をつくっていくことが、夏希さんの大きな目標です。

比嘉夏希 さん
「みんなで助け合った方が自分も助かるし周りの人も助かるから、お互い情報を渡したり、物を渡したりとかして地域の連携をとっていきたい」

小さな防災士の優しいまなざしが、地域防災へと注がれています。

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