高岡市 5歳児死亡プール事故から1年 悲劇を繰り返さないためには

高岡市のスイミングスクールのプールで当時5歳の男の子が溺れて亡くなった事故から1年が経過しました。この間にも、プールでの事故は各地で続いています。再発防止に向けて何が必要か、富山県内施設や有識者に聞きました。

射水市でスイミング教室を運営する「いみずスポーツクラブ」です。3歳児から中学生までの子どもたちを受け入れています。教室では、プールサイドに配置された複数人のスタッフによる監視のもと、プールに入った複数のコーチが生徒の様子に注意しながら指導に当たっています。

いみずスポーツクラブ 二谷颯主任

「お子様の命を預かっていることを念頭に置きながら全コーチにレッスンしてもらったり、子どもたちとプールのルールを必ず確認してからプールに入るようにしています」

1年前。

高岡市のスイミングスクールに参加していた当時5歳の男の子が水に溺れて亡くなりました。男の子が溺れたのは、子どもたちが自由になる「遊びの時間」。男の子は腰に浮き具を2つ付けていましたが、プールに飛び込んだはずみで浮き具のひもがほどけたとみられています。コーチ3人がプールサイドとプールの中で監視役を務めていたということですが、施設側は、取材に対し「監視体制に緩みがあった」と答えました。

警察庁のまとめによりますと、2018年から2022年までの5年間に発生した水難事故で、死亡した人や行方不明になった人の数は3500人あまりに上ります。1年前の高岡の事故のあとも各地で事故は相次いでいて、2023年7月には、滋賀県で6歳の男児がプールで溺れて死亡しました。

いみずスポーツクラブは、事故防止に向けたマニュアルを独自にまとめたり、監視員への研修を定期的に行ったりしてきましたが、高岡での事故を受けて、2か月に1度設ける「遊びの時間」での監視人数を増やすなど対策を強化したといいます。

いみずスポーツクラブ 二谷颯主任

「もう1年経ちますけど、気持ちを緩めることなく、明日は我が身じゃないかと思いながらも気を張ってプールに入るように先生たちには伝えています」

事故防止対策については、県内での統一的なマニュアルはなく、各施設がそれぞれ行っているのが現状です。

専門家は、事故を無くすには、“音を聞き分ける”ことができる監視員の養成が必要と指摘します。

水難学会 斎藤秀俊理事

「水の事故が起きるときは、入水、つまり水に入った直後が多いんですね。監視のプロは、飛び込んだ音は聞き取れます。本当に自分に必要な音を認識するという訓練が必要なんですね。監視のプロというものを養成しない限りは、監視で事故を防ぐということはほぼ無理だと思っていい。それでも心配だという場合は、子どもの自由時間というものを極力なくすということ。そういったことを積み重ねながら悲しい事故をストップさせていただきたい」

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