コロナ検査営業の男性自殺「長時間労働が原因」 妻が会社と当時の社長提訴

京都地裁

 受託臨床検査会社「日本医学臨床検査研究所」(京都府久御山町)で新型コロナウイルス検査の営業を担っていた京都府内の男性=当時(41)=が自殺したのは長時間労働などが原因だったとして、30代の妻が23日、同社と当時の社長を相手取り、約1億1200万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状などによると、男性は2018年に正社員として入社し、同社大阪北営業所(大阪府吹田市)で病院への営業や検体の回収業務に従事。20年8月にうつ病を発病し、同17日に自殺した。亡くなる4カ月前の4~5月の時間外労働は月約23時間だったが、同社が新型コロナ検査を開始して業務が加わり、同3カ月前は約84時間、同2カ月前は約93時間と急増。強い心理的負荷があったとして、22年に労災認定を受けた。

 原告側は、同社が、心理的負荷によって健康を損なう危険を認識していたのに男性の労働時間を軽減する措置を講じず、漫然と長時間労働させたと主張。原告の弁護士が23日に記者会見し、「仕事が夫の命を奪った。関係者は責任を取り謝ってほしい」との妻のコメントを読み上げた。同社は「訴状の内容を確認できていないのでコメントは差し控える」としている。

 同社では17年、別の男性社員が自殺して労災認定を受け、母親が21年、過重労働やパワハラが原因だったとして損害賠償を求め同社と上司を提訴。23年5月に和解が成立した。

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