元高校生が「いじめを放置した」と 県を訴えるも請求棄却

県内の高校に通っていた元生徒が「いじめを放置した」として、県と同級生を相手に損害賠償を求めていた裁判。大津地裁は23日、「学校側に安全配慮義務違反があるとはいえない」として、原告の訴えを棄却しました。

訴えによりますと、元生徒は、高校1年生であった2017年5月ごろから同じ部活動の同級生から通学用の鞄にゴミを入れられたり、先輩からは、クラスのLINEグループで元生徒になりすまし、威圧的なメッセージを投稿されたりするなどの嫌がらせを受け不登校になり、元生徒は、その年の11月に高校を退学しました。元生徒の母親は、学校に対し、クラスになじめていない状況を相談したり協力を依頼したりしましたが学校側は事実関係の調査を怠り、結果、いじめを受け続ける事態に元生徒は、2020年10月に学校がいじめを放置したなどとして県と、部活動の同級生を相手に、合わせて600万円の支払いを求める訴えを起こしました。

判決公判で大津地裁の池田聡介裁判長は「担任教諭が原告との面談時にいじめの存在をうかがわせる事情がなかったことや、原告がクラスでなじみにくいと悩んでいることを複数の教員で情報共有し、対応しようと試みていることなどから原告への対応は、裁量の範囲を逸脱していたといはいえず、安全配慮義務違反があるとはいえない」として、原告の訴えを棄却しました。この判決について県教育委員会は、「今回は県の主張が認められたが、原告が中途退学されたことは大変残念なことでつらい思いをされたと思う。県教育委員会や学校としては、反省すべきは反省し、同様の事案の未然防止に全力を注いでいく」とコメントしています。

© びわ湖放送