宮城初進出!星野リゾート「界 秋保」仙台観光への影響は?〈仙台市〉

仙台市太白区の秋保温泉に、4月25日、新たな温泉宿「界 秋保」がオープンします。23日、ひと足早く報道向けに、その内部が公開されました。

名取川を見下ろす場所に完成した「界 秋保」。「界」は、星野リゾートが展開する温泉旅館ブランドで、「界 秋保」は全国で23カ所目、東北地方では青森県の大鰐温泉に続き2カ所目の施設です。

「界」の特徴の1つが、地域の文化に触れる客室「ご当地部屋」です。こちらは「紺碧の間」と名づけられています。

高橋咲良アナウンサー
「名取川をイメージした紺碧色の空間からは、絵画のような豊かな自然が楽しめます。この時期は桜と青葉がきれいです。また、雄大な渓流も眺められます」

客室の壁には渓流のきらめきや自然を表現した「仙台ガラス」のアート、寝室の白石和紙の障子にはこけし柄が描かれ、伝統文化が客室に溶け込んでいます。「紺碧の間」をはじめ客室は全部で49室。すべての部屋から渓流を眺めることができます。

このほか、渓流をより近くで楽しめる足湯のテラスも!温泉は露天風呂のほか、温度の違う自家源泉の内風呂が2つあります。

食事はこちら。半個室の空間で、仙台牛など地元の食材を使い大名の食事をイメージした料理を提供します。

界 秋保を設計した建築家 小嶋綾香さん
「名取川の水脈に5感で浸るというコンセプトを考え、自然の美しさ以外にも、歴史や風土を館内全体に散りばめるように設計しました」

界 秋保 上打田内健三郎総支配人
「秋保は宮城県・仙台の方が多く、だいたい半数近く。地元の新しい発見があったり、そういった滞在になれば」

「界 秋保」は4月25日オープンです。

界は、地域の歴史や文化を体験するサービスも人気となっています。周辺の観光施設からは、秋保をより広く知ってもらうことにつながると期待の声が上がっています。

4月15日、「界 秋保」では施設の目玉となるプログラムについて、スタッフがミーティングをしていました。

女性スタッフ
「皆さま(客)がタイムスリップしてきた状況を作っているので、より世界観が引き込まれるのかなって…」

女性スタッフ
「世界観に入りきれなかったっていうか、ちょっと分かりづらかったのが多かったので…」

男性スタッフ
「ご当地楽の世界観はすごい素敵だなと思った半面、最初の導入部分がもう少しこういう設定なんだよというのを大袈裟でもいいので分かりやすくお伝えしたら、お客さまもすんなり入れるのかなと思いました」

星野リゾートが全国に展開する「界」は、「ご当地楽」と称して地域の伝統文化や工芸を体験できる無料のサービスを提供しています。宿泊した人は手軽に歴史や文化に触れられるほか、地域ごとの特徴を楽しむことができます。一体、秋保ではどのような「ご当地楽」が用意されているのでしょうか…?

界 秋保 小野寺花さん
「こちらが界秋保のご当地楽、『伊達な宴』を行います、勝色の間でございます。こちらの場所でお酒をつぎ合いながら、伊達な宴をお楽しみいただけます」

「界 秋保」のご当地楽のテーマは、仙台藩主・伊達政宗にちなんだ「伊達な宴」。

界 秋保 小野寺花さん
「『ご馳走』という漢字、最後は『走る』という漢字を書きます。伊達政宗公は前日は寝る間も惜しんで、走って宴の前日に準備をしていた」

大のおもてなし好きで宴を重視していたという伊達政宗。伊達家の軍旗をモチーフにした部屋で、宮城の地酒を味わいながら当時の宴を体験することができます。

「本日の宴は大変良いものでありました。伊達の一本締めでお開きにしたいと思います。ではお手を拝借!よーパパパン、よーパン!ぱちぱちぱち」

界 秋保 小野寺花さん
「県外の方はもちろん、なかなか伊達政宗を知らない方も多いと思うんですけれども、県内の方も、そうだと思っていまして、あまり知らない方に向けて伊達政宗の戦国武将ではない、おもてなしの心ですかとか知っていただく場になればいいかなと思っています」

「界 秋保」のオープンを前に、星野リゾートの代表は秋保へ進出する意義について次のように話しました。

星野リゾート 星野佳路代表
「東北の中で有名な場所のひとつなんですね、界というサブブランドが拠点を持つことは非常に重要なんです。東北全体を見ていただいても温泉地はたくさんあるので、私たちはそういった場所に界が進出していくことが、界にとって大事だと思っています」

宮城では初となる星野リゾートの進出。秋保ではどう受け止められているのでしょうか。震災後の2014年から秋保地区でワインの醸造を手がける秋保ワイナリーの毛利親房さんです。

秋保ワイナリー 毛利親房さん
「ブドウが成木になるのに5、6年はかかると言われていて、僕らも10年目でやっと今収穫量が10トンを超えてきたあたりで…」

毛利さんのワイナリーではブドウ畑の横にワインの試飲ができるカフェとショップを併設。年間6万人が訪れる人気観光スポットとなっています。その一方、課題も感じていたといいます。

秋保ワイナリー 毛利親房さん
「東北だと秋保は大体知られていると思うんですけど、我々が東京とか関西のワインのイベントに行くと、まずは『アキホ温泉ってどこですか?』と、私もここで事業をしているんですけども、その辺のPRは不足していると感じている」

秋保にはカフェやブルワリーなど新たな出店が相次いでいますが、県外に目を向けると知名度はまだまだ。星野リゾートの進出は秋保を知ってもらう第一歩となり、地区全体にとって追い風になると毛利さんは期待を寄せています。

秋保ワイナリー 毛利親房さん
「星野リゾートはとにかくネームバリューと人気はすごくあるので、これは秋保にとってはすごくいいニュースだなというので、秋保のいろんな魅力を発信力のある星野さんからPRしていただくのは一番いい流れかなと思います」

星野リゾートの進出で観光地・秋保はどう変わるのか?地域との連携も注目されます。

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