養老トンネルの掘削現場ではマンモスが大活躍! 地下でうごめく激レア作業車 工事のスペシャリストに迫る

養老トンネルの掘削現場

日本の物流を支える「トンネル」。今回取材班は、現在建設中の高速道路「東海環状自動車道・養老トンネル(仮称)」の工事現場に潜入! ※「養老トンネル」は仮称。記事では以降、(仮称)を省略

東海環状自動車道とは、愛知・岐阜・三重にまたがる「NEXCO中日本」の高速道路で、「養老トンネル」を含む、養老インターチェンジ・大安インターチェンジ間が最後の工事区間。開通すれば、岐阜と三重が初めて高速道路でつながり、交通の便がさらに良くなる。

60カ所もの穴に爆薬を仕掛けて発破しても、わずか1メートルしか進むことができない「養老トンネル」の掘削現場。しかも爆破後は、残された大量のがれきを取り除かなければならない。

トンネル工事のスペシャリストたちは、どうやってがれきを除去しているのか…。

“激レア作業車”はお掃除のスペシャリスト!

がれきが積もるトンネル

トンネル工事では、岩盤が硬い場合、爆薬を使って少しずつ掘削する方法がとられている。爆破の後に積もってしまうのが、大量のがれきだ。

作業車

これを除去するために現れたのが、巨大なショベルが付いた1台の作業車。

ベルトコンベヤーで後ろの荷台へ運ぶ

さらに後ろから、長さ10メートル以上もある大きな荷台のような車両がやってきた。

まずは先頭の作業車が巨大ショベルを使ってがれきを集め、集めたがれきは、ベルトコンベヤーで後ろの荷台へ。

きれいな掘削現場に変化

がれきを乗せた荷台だけが移動し、トンネルの出入口にあるがれき処理場へ。すると、ベルトコンベヤーが動き出し、勝手にがれきが落ちていく…。

この作業を3回繰り返すと、爆破した後の掘削現場はすっかりきれいな状態に!

アーチ鋼で固定

続いて、トンネルのカーブに合わせてアーチ鋼で固定する。次の爆破の時に掘り進めたトンネルが崩落しないよう、側面を支える役割を担っているのだ。

巨大な作業車が登場

ここで登場したのが、まるで“マンモス”のような作業車!

岩が崩れてこないようにセメントで固定

先端のホースからドロドロとした液体のようなものを噴射し、掘り進めた岩盤に吹き付けていく。じつはこれ、速乾性の高い特殊なセメント。岩が崩れてこないよう瞬時にセメントで固めておくと、次の爆発時に、がれきの飛散を抑えることができる。

ちなみに、ホースはリモコンで操作。速さと正確さが求められるため、難易度が高い作業だという。

爆破で山が崩れないように補強

そして、固まったセメントに再び穴を開けて棒を差し込み、留め具のようなものを付けていく。岩盤、アーチ鋼、コンクリートを一体にし、次の爆破で山が崩れないように補強するのだ。

前代未聞のハプニング!? 工事現場の珍客

作業車の下に猫が!

トンネルを掘り進めていると、緊急事態が発生! 作業員たちが、あちらこちらで作業車の下をのぞき込んでいる。かなり慌てた様子だが…なんと工事現場に猫を発見! 爆破に巻き込まれたら大変なので、作業員総出でトンネル出口まで追い込み、逃がしてあげることに成功した。「猫ちゃんは初めて!」と作業員たちも笑顔に。

穴を掘り、爆破、がれきを除去してセメントで固定

前代未聞のハプニングが起きたものの、一連の作業は終了。ご覧の通り、きれいな岩肌が現れた。岩盤に爆薬を入れる穴を掘り、爆破、がれきを除去してセメントで固める。1メートル掘り進めるこの一連の作業を1日最大4回まで行うが、「養老トンネル」は全長約4.8キロメートルにも及ぶため、なんと4000回以上も行わなければならない。

気が遠くなるような道のりだが、この丁寧な作業工程に、“ものづくり大国・ニッポン”の真髄が垣間見えた。

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