対馬・厳原~韓国・釜山航路が5年ぶりに再開 島の経済活性化への期待高まる

日韓関係の悪化などの影響で運休していた長崎・対馬市厳原港と韓国・釜山を結ぶ国際航路が、5年ぶりに運航を再開した。島の経済の中心となる厳原港発着の国際航路再開は、島の経済の活性化に大きな期待が寄せられている。

韓国の乗客280人が厳原へ

運航再開となった23日、対馬市の厳原港には韓国・釜山から復活第一便が到着した。韓国人の観光客など約280人が対馬の地に降り立った。
厳原~釜山航路の再開はおよそ5年ぶり。船は韓国の事業者が運航し、週に3回1往復する。韓国からの乗客は「イカ釣りを楽しみに来た」と話し、対馬での観光を心待ちにしているようだった。

対馬市によると、厳原~釜山航路は日韓関係の悪化などから、2019年8月から全便運休していた。対馬市民や韓国の船の事業者などから運行再開を求める声があがっていたことや、厳原港の国際ターミナルの改修工事が終了したことなどから、再開が決まったという。

観光ルートの多様化で経済活性化に期待

対馬と韓国・釜山を結ぶ国際航路は2023年2月、対馬北部の比田勝発着の便がすでに再開していて、1年間に約12万人が対馬に訪れた。対馬市の比田勝尚喜市長は「厳原~釜山航路の再開で対馬の観光が多様になるものと喜んでいる」と話す。

対馬南部にある厳原港は対馬経済の中心となる厳原町に位置する。南北に長く、北から南まで車で2時間以上かかる対馬。2023年に再開した航路の比田勝港は島の北部に位置し、対馬観光はバスで巡るのが中心だった。
島の南部にある厳原港の再開は観光ルートが増えるだけでなく、島の経済の中心である厳原町で宿泊や食事をすることになり、商工関係者の期待は高い。地域経済が専門の長崎大学の山口准教授は、「厳原航路の復活は島の経済にとって非常に重要」と話す。

長崎大学経済学部・山口純哉 准教授:
人の行き来が盛んになり、韓国の客が対馬に来てお金を落としてくれるという経済効果が戻ってくる。観光客相手に飲食店や小売店をやっていた店はコロナ禍で苦しい思いをしたと思うが、今回の厳原~釜山航路再開で客が戻ってくることで喜んでいると思う。

対馬では別の事業者が国際航路への参入計画もあるということで、市は厳原航路の再開で年間の入国者数が20万人近くになることを期待している。

(テレビ長崎)

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