2024年4月に欧州で初公開されたマツダ 新型CX-80は、後輪駆動プラットフォームを採用したフラッグシップSUVです。この記事では、今回発表された新型CX-80の日本仕様の価格、サイズ、内装などを、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが欧州仕様から予想していきます。
マツダ 新型CX-80とは?
SUVは人気のカテゴリーで、新型車が多数発売されています。
国産メーカーの中でも、特にマツダはSUVに力を入れています。OEM車を除くと、現在国内で販売されているマツダ車の半数以上がSUVです。
そして2024年4月に、新型CX-80が欧州で初公開されました。
新型CX-80は、新型CX-60と同じ後輪駆動のプラットフォームを使って開発されたマツダの最上級SUVです。
以前の前輪駆動のプラットフォームを使ったCX-8と同様、3列のシートが装着されます。
したがって、ボディサイズは日本で販売されるマツダ車では最も大きいです。新型CX-80は2024年中には日本市場に導入される見込みです。
販売店は「2024年の7月から8月には、何らかの案内があるでしょう」と述べています。
マツダ 新型CX-80のレビュー、良い点、気になる点
良い点、気になる点まとめ
新型CX-80のボディサイズ
※CX-80は欧州仕様
新型CX-80のボディサイズは、欧州仕様で見ると、全長が4,995mm、全幅は1,890mmで、全高は1,710mm(ルーフレールを含む)です。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は3,120mmとなります。
この大きさを同じプラットフォームを使う2列シートの新型CX-60と比較すると、新型CX-80は255mm長く、全幅は同じ数値で、全高は25mm高いです。ホイールベースは250mm長くなります。
新型CX-80のホイールベースは、北米で販売されているCX-90と等しく、車両もこれをベースに幅を狭めて開発されました。
しかし国内市場で見ると、新型CX-80は、CX-60の全長とホイールベースをそれぞれ約250mmずつ拡大したロング版になります。
そして新型CX-60と新型CX-80の関係は、CX-5と生産を終えたCX-8と同様です。
CX-8も、CX-5に比べてホイールベースを230mm拡大していました。また全長も300mm以上長かったです。
新型CX-80のボディは、全長が約5mに達します。
さらにエンジンを縦置きに搭載する後輪駆動車なので、ボンネットも前輪駆動のCX-5やCX-8に比べて伸ばされています。
新型CX-80の外観(エクステリア)
新型CX-80の外観は堂々としていて、伸びやかで優雅な雰囲気も感じます。
新型CX-80の内装(インテリア)
インパネ
新型CX-80の内装を見ると、インパネの基本デザインは新型CX-60と同じです。
水平基調によってワイド感が強調され、インパネの中央から助手席の前側にかけて、横長の装飾パネルも備わります。
ATレバーの収まるセンターコンソールも幅が広く、後輪駆動らしく位置が高いです。
上級グレードのインパネには、CX-60と同様、ステッチに掛け縫いの手法も使われます。
シート
運転席に座ると、適度に引き締まった印象で、車両との一体感も味わえます。
このあたりはマツダ車らしい特徴でしょう。新型CX-80の1列目シートに座った印象は、新型CX-60に近いと思われます。
2列目シートは、以前のCX-8と同様、3人掛けのベンチシートと2人掛けのセパレートシートになります。
セパレートシートでは、中央にセンターアームレストとコンソールボックスが装着された上級タイプもあります。
2列目の足元に空調スイッチも備わり、2列目にオーナーが座る送迎用途にも対応できます。
また中級グレードで、2列目がセパレートのタイプを選ぶと、コンパクトなアームレストが装着されます。
セパレートシートのベーシックな仕様では、2列目にセンターコンソールボックスが備わらないため、車内の移動もしやすいです。
新型CX-80は多人数乗車を前提に開発されたので、国産SUVの中では最も快適な3列目シートが備わっています。この考え方もCX-8を踏襲しています。
ただし、3列目のシートは、1/2列目に比べて床が高いです。
床と座面との間隔も不足して、膝が持ち上がります。これは以前のCX-8と同様で、床を平らに仕上げたミニバンではないため、仕方のないところです。
したがって、多人数で乗車する場合は、3列目シートを入念に確認しましょう。
新型CX-80のパワートレイン
新型CX-80のパワーユニットは、基本的に新型CX-60と共通ですが、新型CX-60と比べると選択肢は減るでしょう。
日本仕様では欧州仕様が踏襲され、以下の3つが設定されると予想します。
販売店では日本仕様のパワーユニットについて、以下のように説明しました。
「日本仕様も、欧州と同じ3種類のパワーユニットを採用する見通しです。新型CX-60や以前のCX-8には、2.5Lのノーマルガソリンエンジンもありましたが、それは省かれます。したがって新型CX-80の価格帯は、新型CX-60やCX-8に比べて、かなり高くなるでしょう。500〜800万円になると言われています」。
日本仕様のパワーユニットの性能は、新型CX-60を踏襲すると考えられます。
新型CX-60のスペックは下記の通りです。
PHEVとディーゼルハイブリッドはエンジンとモーターを組み合わせたパワートレインです。上段がエンジン、下段はモーターの出力とトルクを記載しています。
新型CX-60のスペック
新型CX-80の日本仕様のグレード構成と価格予想
新型CX-80の日本仕様のグレード構成と価格は、具体的にどのようになるのでしょうか。
上記の販売店のコメント通り、新型CX-80のバリエーションは新型CX-60の中級から上級のグレードを発展させたものと仮定して考えてみましょう。
パワーユニットでは2.5Lのノーマルガソリンエンジンが省かれ、グレードもベーシックなSパッケージ以下は用意されないと予想されます。
安価なグレードは約500万円程度
新型CX-80の予想価格
そうなると新型CX-80で最も安価なグレードは、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボを搭載するXD・Lパッケージに類するものでしょう。
新型CX-60のXD・Lパッケージは2WDの価格が422万4000円で、新型CX-80の同グレードは、販売店のコメントのように約500万円になると考えられます。
つまり新型CX-80と新型CX-60の価格をXD・Lパッケージ同士で比べると、新型CX-80は新型CX-60に比べて約78万円高いです。
これが全長とホイールベースをそれぞれ250mm程度拡大して、3列目シートを加えた対価です。
ちなみに従来型となるCX-8の価格も、CX-5の同グレードに比べて60〜80万円高く、新型CX-80と新型CX-60の価格差とほぼ合致します。
ほかのグレードについても、新型CX-80の価格は、新型CX-60の同じ位置付けのグレードに、70〜80万円を加えた金額と考えれば良いでしょう。
そうなると新型CX-80で最も高価なグレードは、PHEVに4WDを組み合わせたプレミアムモダンとプレミアムスポーツに類するものです。プレミアムモダンの内装には、掛け縫いのステッチも使われると予想されます。
そして新型CX-60のPHEVプレミアムモダンの価格は646万2500円です。
そこに80万円を加えると約726万円ですが、新型CX-80では2列目に機能の充実したセパレートシートも用意されます。
これらの新型CX-60では選べない新型CX-80専用の付加的な装備も含めると、販売店が新型CX-80の上限価格帯とした800万円に近付きます。
参考までに、新型CX-60のグレード別価格は下記の通りです。
新型CX-60の価格表
新型CX-80は高級SUV路線へ舵を切り、価格は強気に
新型CX-80は、マツダの新しい後輪駆動のプラットフォームを使ったSUVの本命です。
新型CX-60が先に発売されましたが、商品構成は新型CX-80が後輪駆動の主力になり、新型CX-60はマツダらしい運転感覚のスポーティなショート版に位置付けられます。
その意味で新型CX-80は、ロングホイールベースによる優れた直進安定性や快適な乗り心地なども含めて、上質なSUVに仕上げるでしょう。
ただし、価格が500〜800万円ではマツダの他モデルや他社SUVと比べれば相当に高いです。
2024年4月に発売されたトヨタ 新型ランドクルーザー250も、価格帯が520〜785万円(特別仕様車を含む)です。
新型車のこのような価格設定を踏まえると、300〜400万円を売れ筋とするCX-5などの商品力を向上させることも大切でしょう。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:木村 博道/小林 岳夫/堤 晋一/茂呂 幸正/マツダ】