ソフトバンク川村友斗「えっ、速っ」 ロッテ佐々木朗希から貴重な1点をもぎ取った「1メートル」と「指3本分」の準備と工夫

7回2死二塁、川村は左越えに適時二塁打を放ち右拳を上げる(撮影・伊東昌一郎)

◆ロッテ2―4ソフトバンク(23日、ZOZOマリン)

ソフトバンクの川村友斗外野手(24)が7回にロッテ佐々木朗希から適時二塁打を放った。「1番中堅」でプロ2度目のスタメンに名前を連ね、5打数1安打1打点。貴重な追加点をもぎとった裏には、川村なりの周到な準備があった。

有原が白熱の投手戦を繰り広げる中、終盤の大きな1点となった。1点リードの7回2死二塁。佐々木の157キロ直球に反応した打球は左翼手の頭上を越えて、牧原大が3点目のホームを踏んだ。「チャンスだったんで、何とかしたいと思って(打席に)入りました。4打席目で打てて良かったです」と笑顔で振り返った。

まだ育成選手だった3月10日に、オープン戦で佐々木と対戦して2打数無安打に抑えられた。シーズンに入り、当時よりさらに厳しい戦いになることは分かっていた。試合では「えっ、『速っ』って思った。オープン戦の時より球も速かった」と振り返る。

試合前の打撃練習から対策を練っていた。打撃ケージから1メートルほど前に出て、打撃投手の球に向き合った。打撃コーチの指示ではなく、自らの意思。160キロ前後の剛速球に対応するためだった。

試合ではさらに工夫を凝らした。普段より指3本分バットを短く持って当てることに集中した。執念でつかみ取った適時打。小久保監督も「彼(佐々木朗希)から打ったヒットっていうのは自信になるでしょう」とリードを広げた一打をたたえた。

プロ初スタメンだった4月6日の楽天戦(楽天モバイル)でも1安打2打点と活躍。スタメンでは2試合続けて勝負強い打撃が光るが、反省は尽きない。

「最後のああいう場面でバントしっかり決めなきゃ、まじでやばいので。明日からまた練習します」と9回でのバントミスを悔やんだ。スタメンで名前を呼ばれれば、今も緊張する。それでも24歳は冷静に人事を尽くし、結果を残した。(鬼塚淳乃介)

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