暖冬、長雨で野菜が高い…家計に追い打ち、悩む消費者 スーパーは売り方工夫

野菜を手に取り吟味する買い物客ら=23日、鹿児島市与次郎2丁目のおいどん市場与次郎館

 鹿児島県内で野菜の高値が続いている。暖冬で春野菜の成長が早まっていた上、長雨の影響で品薄状態が続き、例年の倍の値をつける野菜も見られる。食料品の値上げが相次ぐ中、さらなる家計への打撃に県内の消費者は頭を悩ませる。

 「葉物は高くて買うのを諦めた」。鹿児島市内のスーパーを娘と訪れた同市新屋敷町の蜂須賀悦子さん(72)はため息をつく。同市南林寺町の会社員日高亜耶さん(33)は「スーパーや直売所を回って安い物を買う。冷凍野菜も買うが、日持ちしない野菜が困る」と話す。

 生協コープかごしま(同市)では、レタスやキャベツが大幅に上がり、ニンジンも例年の倍の価格になった。広報担当者は「暖冬でピークが早く3月は品薄状態だった。そこに霜や直近の長雨が追い打ちを掛けた」と説明する。店頭では4分の1や8分の1といった小分けにしたり、カット野菜の扱いを増やしたりして、手に取りやすい価格になるよう工夫する。

 一方、産直野菜が人気を集める。同市与次郎2丁目のおいどん市場与次郎館では3月ごろから、来店者が1~2割ほど増えている。23日に訪れた同市上荒田町の若松恵里さん(37)は6歳と8歳の子育て中。「子どもにはいろいろな種類の野菜を食べさせたい。産直は安くて旬のものが買えるので助かる」と品定めしていた。ただ同店でも入荷量は不安定で、現在はキャベツやニンジンは品薄だ。

 JA県経済連野菜振興課によると、日照不足で葉物のほか、ピーマンやキュウリも生育がよくない。雨が続くとジャガイモなどの露地物は収穫できず、全体的に不足が続くとみる。市場が休みになる連休前は引き合いが増え、さらに高値を招く可能性も指摘する。「天候の回復次第だが、長雨による病気も心配。なかなか見通しが立たない」としている。

〈別カット〉産直野菜が並ぶ売り場=23日、鹿児島市与次郎2丁目のおいどん市場与次郎館

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