ダイハツ社長、開発の早期再開目指す意向 再発防止前提に年内も

Maki Shiraki

[東京 24日 ロイター] - 認証不正問題を起こしたダイハツ工業の井上雅宏社長はロイターなどとのインタビューで、昨年から止めている車両開発について、再発防止策の徹底を前提に、できるだけ早く本格再開する意向を示した。

親会社のトヨタ自動車から国内外向けの一部小型車の開発・生産を請け負っていたダイハツは、不正の主因となった短期開発を是正し、今後は標準的な開発日程を従来の1.4倍に伸ばす。現在は開発スケジュールの見直し作業などを進めている。

井上社長は「再発防止策が固まれば、年内の早いうちに(開発の再開に向けて)進めていきたい」と述べた。環境など各国の規制に急いで対応する必要がある既存車の一部改良に向けた開発は、さらに前倒しで進める考え。

全面改良車や新規車種も含めると、どの国のどのモデルを優先すべきか、投入時期を遅らせるかなどを判断している最中とし、トヨタの力も借りながら「何とか最適解を出す作業を年内にやっていく」と話した。

井上氏は3月、トヨタから認証不正問題に揺れるダイハツ社長に転じた。国内でダイハツの現行モデルは型式指定が取り消された1車種を除いて基準適合性の確認が終了し、出荷停止指示が解除された。新規受注活動も徐々に正常化している。

業界団体によれば、ダイハツの2023年度の軽自動車販売は前年度比21.6%減の44万3694台。井上社長は今後5年ほどは軽市場が185万台程度で推移するとみており、信頼を早急に取り戻し、不正前の販売水準である年65万台規模を「何とか守っていきたい」と述べた。

現状は補修・アクセサリー部品で国内の収益を確保している。国内の新車需要が今後減少すれば「海外で補うのが良い」と話した。

トヨタで中南米本部長を務めていた井上社長は、今後10年単位でみて開拓すべき市場は「南米とアフリカ」と指摘。手頃な価格の小型車を得意とするダイハツは「新興国に本当にど真ん中のストライクゾーンに剛速球を投げられるくらいマッチ」していると語った。

トヨタグループとしてダイハツがすでに存在感のある東南アジア市場は中国、韓国勢が攻勢をかけており、「かなり飽和状態」と説明。主力市場とするマレーシアは経済が堅調で、足元の販売は「非常に上向いており好調」とし、もう1つの主力市場インドネシアは「経済自体が少し厳しくなっており、伸びが鈍化している」と話した。

*インタビューは22日に実施しました。

(白木真紀 編集:久保信博)

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