【シンガポール】半導体工場を27年に閉鎖[IT] エプソン、生産体制見直しで

シンガポール・エプソン・インダストリアルはトゥアス工場を2027年に閉鎖する(同社提供)

セイコーエプソンは、シンガポールの半導体工場を2027年に閉鎖する。世界規模での中期的な生産体制見直しの一環で、一部の機能は海外の施設に移転する予定だ。約350人の従業員が影響を受ける見通し。対象者には手厚い支援を提供する。

シンガポールの生産会社シンガポール・エプソン・インダストリアル(SEP)が操業する西部トゥアスの半導体工場を閉鎖する。同社が19日に発表した声明によると、今後は生産を縮小し、一部機能を海外の施設に移転・統合する。27年に移転を完了し、工場を閉鎖する計画だ。

セイコーエプソンの広報担当者はNNAに対し、「生産性や効率性などを勘案して他の東南アジア諸国や日本などに移転する予定だ。(移転する)具体的な機能は今後詳細を詰める」と明らかにした。

今回の決定は、絶えず変化する顧客のニーズを満たすために、世界規模で生産を最適化するグループの中期グローバル生産戦略の一環と説明。同戦略では生産効率、コスト、地政学的リスクなどさまざまな要素を考慮していると付け加えた。

今回の移転・統合に伴い、約350人の従業員が影響を受ける見通しだ。シンガポール・エプソン・インダストリアルは、公平な雇用に関する政労使3者のガイドラインに沿って、事前に先端製造業従業員組合(AMEU)や関連する政府機関に報告。同組合と協力しながら影響を受ける従業員を支援する。

対象者には19日に今回の決定を通知した。労働協約の内容以上の手厚い補償を提供する。今後数年で事業移管を進めながら従業員を適切に支援・処遇していく。

先端製造業従業員組合は解雇時の支援として組合の規範にのっとった解雇手当の支給のほか、追加の雇用維持パッケージや雇用・就業支援サービスの提供が含まれると説明している。

シンガポール・エプソン・インダストリアルの前身であるテンリュウ(シンガポール)は1968年、エプソン初の海外グループ会社として設立。シンガポール・エプソン・インダストリアルはこのほか、メッキなどの表面処理加工サービスを手がける工場を西部ジュロンで操業している。

国内ではトゥアス工場の閉鎖に伴うエプソンの他事業への影響はなく、ジュロン工場やプリンター製品の倉庫などは従来と同様に稼働を続ける。

東南アジアのマーケティングや販売を統括する現地法人エプソンシンガポールも、引き続きエプソンブランドの販売を手がける。シンガポール・エプソン・インダストリアルは「シンガポールはエプソン・グループにとって、今後も世界規模で事業展開する上で重要な拠点となる」と説明している。

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