ハワイのスポーツ史がギュッと詰まったミュージアム兼ショップ、OldQueenStreetStadium

野球、バスケットボール、フットボールなどハワイの高校、大学スポーツからプロスポーツまで数十年にわたるスポーツ史を学べるマニアックでユニークなビンテージショップ兼ミュージアムが、カカアコにあります。

ケビン・セバスチャン(Kevin Sebastian)、チェスター・セバスチャン(Cehster Sebastian)兄弟、そしてケビン・フォーラー(Kevin Faller)の3人が共同経営するオールド・クイーン・ストリート・スタジアム(Old Queen Street Stadium)です。

彼らが子供の頃から集めてきた選手ユニフォーム、記念ボール、レトロベースボールカードなどのコレクターズアイテムに始まり、アロハスタジアムで使われていたロッカー、ハワイ大学の今はなきクルム体育館(Klum Gym)の床、そしてハワイ大学の70年代のマスコットキャラクター、メネフネの着ぐるみの頭まで......。

ここではそんな過去のもの、処分されてしまっていたかもしれないものも、まるで息を吹き返したように、そのストーリーとともに誇らしく展示されているのです。

オールド・クイーン・ストリート・スタジアムの出発点は、パンデミックが始まった2020年。月一回クイーン・ストリートのレストランで、ビンタージのコレクターズアイテムをテーマにしたポップアップイベントを開催したのが始まりでした。集まった人たちの間で、持っているコレクターズアイテムを売買したり交換したりしながら、アイテムにまつわるスポーツの思い出話に花を咲かせるイベントだったそうで、パンデミックの中でも、徐々にポピュラーな存在に。イベント中に話題に上ることが多かったのが、モイリイリ地区に1970年代まであったホノルル・スタジアム(Honolulu Stadium)でした。

ホノルル・スタジアムは1926年にオープンし、主にベースボールやフットボールのフィールドとして使用され、ローカルのスポーツファンの間ではアイコニック的な存在でした。当時二万五千人もの観衆をエキサイトさせた木製の観客席が、シロアリによく食われることから「シロアリの宮殿(Termite Palace)」というニックネームが付けられ、遂に1976年に取り壊されてしまいました。(ちなみに、ホノルルスタジアムがクローズしたと同時にオープンしたのがアロハ・スタジアムでした。)

スポーツイベントだけではなく、フラのイベントやエルビス・プレスリーのコンサートなども行われ、地元の人たちにとって憩いの場であったホノルル・スタジアム。そんな今はなきホノルル・スタジアムに敬意を表して、そして彼らの原点であるクイーン・ストリートにちなんで、2021年にオールド・クイーン・ストリート・スタジアムが誕生したのです。

先に断っておきますが、通常のミュージアムを想像してはいけません。スケールは小さいですが、ハワイスポーツ史の記念アイテムや、かつてのレジェンドプレイヤー達が使用していたユニフォームやジャージーなどはケースには一切入っておらず、手に触れることができます。

ユニフォームには下げ札が付いていて、いつ、誰が着用していたのか等の詳細情報を知る工夫がされています。また赤いタグは非売品、ベージュのタグは販売品など、わかりやすくオーガナイズされています。若い三人の起業家たちの努力とスポーツ史への愛がたくさん詰まっているのです。

60年代後半から80年代前半にかけてメジャーリーグのアトランタ・ブレイブス(Atlanta Braves)や、日本プロ野球の横浜大洋ホエールズなどで活躍したハワイ出身の野球選手マイク・ラム(Mike Lum)のユニフォームなど、非売品の貴重なアイテムの他にも、ゴルフのソニーオープンの前衛であったハワイアンオープンの70年代のアロハシャツなど、ビンテージアイテムも販売しています。超マニアックなビンテージコレクターには、掘り出し物が見つかるかもしれません。

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