4月28日・29日に「お大師まいり」 秋穂八十八カ所霊場で、地域挙げて「お接待」

 山口市秋穂の「秋穂八十八カ所霊場」は、「『日本最古』ともいわれる『写し四国』」だ。その霊場を舞台に、4月28日(日)と29日(月・祝)、「お大師まいり」が開かれる。

 

これは、弘法大師(空海)の命日に当たる旧暦の3月21日と前日の20日に、地域の人たちが巡礼者に対して飲み物や食べ物のおもてなし(お接待)をする毎年恒例の行事。当日は、各札所におけるお接待に加え、山口観光コンベンション協会秋穂支部(TEL083-984-3741)などによるさまざまな取り組みもされる。

 

 「案内所」は、秋穂地域交流センター(山口市秋穂東)に、両日午前9時から午後4時まで設けられる。道案内に加え、オリジナル巾着袋に70枚の10円玉が収められた「おさい銭用小銭」(1000円)等巡礼グッズの販売や、「スタンプラリー」台紙の配布などがされる。

 

 さらに同所には、霊場巡りが体力的に困難な人たちに向け、全札所の敷地内の土砂を88の袋に詰めて並べ、その上を足で踏む「お砂踏み」体験コーナーも設置。この上を歩けば、八十八カ所を徒歩で巡礼したのと同じ功徳が得られるという。

 

 各霊場を巡るのに必要不可欠なガイドマップ「巡礼手帖」は、案内所や札所の各お寺、秋穂地域内の商店や行政施設、道の駅(あいお・きららあじす)等に設置。札所所在地一覧、巡礼の作法、案内図、おすすめコースなどが紹介されている。

 

 「今年は休日の開催となったこともあり、この文化を継承していくためにも、多くの人に来てもらえたら」と、同協会秋穂支部。

 

 87番札所の幸田大師堂は、4月18日に建て替え工事が終わり、今回のお大師まいりでお披露目される。ひときわ立派な唐門を持つ建て替え前の建物は、1924年(大正13年)に建造されたもので、シロアリや屋根瓦のずれによる雨漏り等によって、建物の一部が大きく崩れてしまっていた。そこで寄付を募り、唐門など既存の部材も活用しながら、規模を小さくして建て替え。ここは薬師堂を持つ正福寺跡ともいわれ、薬師如来立像と脇侍の日光月光菩薩(ぼさつ)像が安置。さらに、泉蔵坊(現在の栄泰寺)から継いだ、江戸時代初期に造られた千体地蔵もまつられている。この木造の千体地蔵は、坐像(ざぞう)を中心に左右2組・13段に安置。その数と高度な彫像技術には「目を見張る」と評判だ。落慶法要は、お大師まいり終了後の5月5日(日・祝)に執り行われる。

 

 

 秋穂八十八カ所霊場は、1783(天明3)に遍明院の住職だった性海法印が四国八十八カ所霊場の「御符」と「御砂」を持ち帰り、秋穂に霊域を定めて札所を設けたのが始まりだ。四国八十八カ所の写し霊場「写し四国」としては、国内最古だと伝えられている。

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