【西川和久の不定期コラム】2つの2.5GbEをどう使う?Intel N100搭載ミニPC「MINISFORUM UN100D」

by 西川 和久

UN100D

MINISFORUMは、Intel N100を搭載し、2.5GbEx2の「UN100D」を4月20日より出荷予定だ。一足早く実機が届いたので試用レポートをお届けしたい。

2種類あるUN100シリーズ

今回紹介するMINISFORUMのIntel N100搭載のミニPC「UN100」シリーズは、「UN100L」とUN100Dの2種類ある。何が違うのか? と言うと、前者はGbE×1でストレージがPCI Express 3.0(PCIe 3.0)x1接続のNVMe SSD、後者は2.5GbE×2でストレージがPCIe 3.0x2となっている点。また、USBの構成も若干異なる。

セール価格は下位モデルの8GB+256GBで2万7,980円(UN100L)対2万8,980円(UN100D)。たった千円差だ。別ける手間を考えると、わざわざ2モデル用意する必要があるか? と個人的には疑問だが(笑)……今回、後者UN100Dの16GB+512GB搭載、上位モデルが手元に届いたので紹介したい。主な仕様は以下の通り。

プロセッサは低価格の割にパフォーマンスが優れているお馴染み、Intel N100。4コア4スレッドで最大クロック3.4GHz。キャッシュは6MB、TDPは6W。

Core iプロセッサの高効率Eコアのみを使ったプロセッサだが、第6~7世代辺りのCore iプロセッサ相当のパフォーマンスを叩き出す。当初は半信半疑だったものの、実際使ったところその通り。人気も頷けるプロセッサとなっている。

メモリはオンボードのLPDDR5。8GBか16GBかの選択が可能だ。ただしデュアルチャネル作動ではなく、シングルチャネル作動なので、特にiGPUのパフォーマンスが今一歩となるのは仕方ないところか。

OSはWindows 11 Home。22H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し、評価している。Updateが面倒なので23H2ベースにして欲しい感じだ。

ストレージは、M.2 2280 PCIe3.0x2 SSDで256GBか512GB。先述の通りUN100LはPCIe 3.0x1となる。加えて2.5インチSATA SSD/HDDを1基搭載可能だ。

グラフィックスはプロセッサ内蔵、Intel UHD Graphics。外部出力用にHDMI、DisplayPort、Type-Cの3つを装備する。

ネットワークは、2.5GbE×2、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.2。冒頭に書いたように、UN100LではGbE×1となる。そのほかのインターフェイスは、USB 2.0×1、USB 3.1×2、USB 3.1 Type-C×1、microSDカードスロット、3.5mmジャック。UN100LはUSBの構成も若干異なる。なお、USB Type-CはPD給電にも対応(45W ACアダプタで確認)。

サイズ115×110×46mm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測で366g。セール価格は順に2万8,980円(8GB+256GB)、3万1,580円(16GB+256GB)、3万3,980円(16GB+512GB)。上下モデルでその差5千円。これなら最上位モデルを選びたいとろか。

前面。電源ボタン、USB 3.1×2、USB 2.0×1、3.5mmジャック
2.5GbE×2、HDMI、USB 3.1 Type-C、DisplayPort、電源入力
右側面にmicroSDカードスロット
裏面とiPhone 13 Proの比較四隅にゴム足と内側にVESAマウンタ用ネジ穴
付属品。ACアダプタ(サイズ約80×45×30mm、重量170g、出力12V/3,000mA)、HDMIケーブル、各種ネジなど
重量は実測で366g
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Setup
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB Type-Cを使いケーブル1本で接続可能

筐体はオールブラックのNUCタイプ。重量が実測で366gしかなく、パッケージが届いた時、本当に入ってるのか疑うレベルだ。この点は最近評価しているコンパクトの割に少し重いハイエンド系の同タイプと異なる。iPhone 13 Proの比較からも分かるように結構コンパクト。

前面は電源ボタン、USB 3.1×2、USB 2.0×1、3.5mmジャック。背面は2.5GbE×2、HDMI、USB 3.1 Type-C、DisplayPort、電源入力。そして右側面にmicroSDカードスロットを配置。裏は四隅にゴム足と内側にVESAマウンタ用ネジ穴。

いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続は、背面にあるUSB 3.1 Type-Cを使い、ケーブル1本でOKだった。なおBIOSは起動時[DEL]キーと一般的なものの、まずメニュー的なのが先に表示され、SetupでBIOSの画面となる。

付属品は、ACアダプタ(サイズ約80×45×30mm、重量170g、出力12V/3,000mA)、HDMIケーブル、各種ネジなど。

内部へのアクセスは、裏のゴム足4つの下にネジがあるので、それを外せば簡単にアクセスできる。メモリはオンボードなので追加/交換できないが、ストレージはM.2 2280なので、ほかに乗せ替えは容易。加えて裏パネルの裏に2.5インチSSD/HDDを1基搭載可能。SATAケーブルは本体内に収められており、行方不明にならずに済みそうだ(笑)。

四隅のゴム足の下にネジがあるので、外せば簡単に内部へアクセスできる
2.5インチSSD/HDDに接続するケーブルは、本体内に入っている

ノイズや発熱に関しては、ベンチマークテストなど負荷をかけると、若干ファンの音がして、暖かくはなるものの、音は本体に耳を近づければ分かるレベル。気になるほどでも無い。発熱は暖かいな! 程度。どちらも十分抑えられている。

ゲームをしなければ使えるパフォーマンス

初期起動直後は、Windows 11 Home標準のまま。特に壁紙の変更やアプリなどの追加は無い。ここのところNUCタイプでもハイエンド系ばかり使ってきたので、それらと比較すれば、動きは若干もっさりしているだろうか。とは言え、操作にストレスを感じるレベルではない。

ストレージは、M.2 2280 512GB SSDの「ESO512GTLCW-EP3-2L」。メーカーのデータは見つからなかったものの、ここによると、シーケンシャルリード2,370MB/s、シーケンシャルライト1,752MB/s。CrystalDiskMarkのスコアがこの値を下回っているが、これはPCIe 3.0 x2接続の影響だろう。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられ空き447GB。

2.5GbEはIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはIntel Wireless-AC 9560、BletoothもIntel製だ。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Home 22H2標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは、M.2 2280 512GB SSDの「ESO512GTLCW-EP3-2L」。2.5GbEはIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはIntel Wireless-AC 9560、BletoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられている

ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。

ここのところ試用したハイエンド系NUCと比較して、かなりザックリで約2分の1のパフォーマンスとなる。ただし、3DMarkなどGPUに関係する部分は数分の1。ゲームをせず、一般的なアプリなら……という感じだろうか。


以上のようにMINISFORUM「UN100D」は、Intel N100を搭載、メモリ8GB/16GB、ストレージ256GB/512GBを選べるNUCタイプのミニPCだ。2.5GbEが2つ、内部に2.5インチSSD/HDDを搭載可能と拡張性も高く、軽くファイルアクセスをする程度のサーバーやNASも十分に務まるであろう。それでいて最上位で3万3,980円。十分に衝動買いができるレベルの価格帯に収まっているように思う。

Intel N100なので、昨今のハイエンドNUCほどのパフォーマンスは無理だが、ネットで調べれば、ゲームさえしなければこれで十分的な意見も多い。筆者もネットやテキスト中心ならこれで問題ないと思う。価格も価格なので、この記事を見て「お!」と思い、活用できるアイデアが浮かんだ人に、ぜひ使ってほしい1台だ。

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