「団地で猫2匹までは飼育してOK」シンガポールの新制度が、かえって捨て猫の増加を招く事態に

「猫が飼える」新制度がスタート

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シンガポール国民の8割が住む「住宅開発庁(HDB)」の高層団地。ここでは、これまで住民が猫を飼育することは禁止されていましたが、2023年12月の法改正によって、飼い猫の登録やマイクロチップの装着、駆虫などの飼育条件を守れば、1戸あたり猫を2匹まで飼えることになりました。

この2年間は新しい制度への移行期間になっており、飼い猫を登録する人は無料で手続ができる上、低所得世帯には「動物獣医局(Animal & Veterinary Service/AVS)」が無料の避妊手術とマイクロチップ装着を行っています。

また、この移行期間終了後に3匹以上の猫を飼う場合も、AVSとHDBの認可を得るなどの手続きを正しく行えば、飼育は可能です。

しかし、この規制を誤解してしまい、これまで内緒で猫を3匹目以上飼っていた人が猫を捨てるケースが増えており、動物保護施設にはこうした猫が急増しているといいます。

新制度の元で、捨て猫が急増

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中国語新聞「日聯合早報」は、動物虐待防止協会(SPCA)のAarthi Sankar事務局長が「移行期間の条件を誤解している猫の飼い主がいます。他の動物愛護団体でもここ数ヵ月間、捨てられた猫を保護しなければならない件数が増えているのです」と発言したことを報じています。

Cat Welfare Society(CWS)会長のThenuga Vijakumarさんも「今回の法改正が発表された直後から、捨て猫の数が急激に増えました」と語っています。

猫を飼う人々は、3匹目の猫をあわてて捨てるのではなく、移行期間中に何をする必要があるのか、利用できる支援はどんなものかを理解してほしいものです。

3匹以上も認めてほしい

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不動産業者のChen Shijiaさん(33歳)は、HDB住宅1戸あたり飼育できる猫の数には制限を設けないよう求めています。

「わたしの知っている里親さんは、10匹もの猫を世話しています」というChenさんは、自身も3匹の猫を飼っているほか、過去4年間で合計10匹の猫を養育するボランティアを務めました。

「猫は社交的な生きものです。飼い主の中には、遊び相手が必要だと考えて複数飼いを選ぶ人もいます。当局もこうした事情を考慮するべきです」と話すChenさんです。

35年近く前に設けられた制度によって、長年猫の飼育が禁止されてきたHDB住宅居住者。新しい制度が始まっても、密かに猫を飼い続けてきた人々の間で、しばらくは混乱状態が続きそうです。

出典:Cats abandoned by owners worried about proposed cat-ownership framework

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