広がりを見せるスタートアップ支援「テレビ朝日」「電通」「Relic」などが新サービスを展開

東京・六本木のテレビ朝日の社屋

スタートアップ企業への支援の輪が広がりを見せている。

テレビ朝日(東京都港区)と電通(東京都港区)は、経済メディアのForbes JAPAN(東京都港区)と、オープンイノベーション(社内外の知見や技術、サービスなどを駆使して変革する取り組み)事業などを展開するReGACY Innovation Group(東京都千代田区)と共同で、スタートアップなどを支援するための基盤となる「FUTURE TALENT STUDIO」を立ち上げた。

また新規事業開発やイノベーション(変革)の創出を支援するRelic(東京都渋谷区)は、ファンド規模が1億円からでも始められるCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の設立や運用を支援するサービスを始めた。

公的機関や研究機関などが支援してスタートアップを成長させる「スタートアップエコシステム」に、民間企業の活動が加われば、スタートアップ支援の大きな推進力になるだけに、今後こうした動きに関心が集まりそうだ。

スタートアップが生まれる機運を醸成する番組も

「FUTURE TALENT STUDIO」は、テレビ朝日と電通が持つ創造力や、事業開発力、顧客ネットワークなどと、Forbes JAPANが持つ起業家をはじめとしたビジネスネットワーク、ReGACYが持つ新規事業開発手法などを組み合わせて、スタートアップやイントレプレナー(企業内起業家)を支援する。

具体的には「支援ネットワーク構築と共創プロジェクトの推進」「未来起業家をサポートするプログラムの提供」「新規事業開発や起業に関するニュースレターの配信」「事業アイデアの公募」「新規事業の開発支援」の5つのプロジェクトを展開する。

さらに、テレビ朝日では「FUTURE TALENT STUDIO」の運営と並行して2024年4月から月に1回、スタートアップ応援番組「BooSTAR ―スタートアップ応援します―」を放送する。

世界や日本のビジネストレンドの紹介や、有識者と起業家の対談などを通じて、スタートアップが生まれる機運を醸成するという。テレビ朝日では、これら活動を通じて「日本経済のイノベーティブな発展を目指す」としている。

運営コストを抑え小規模ファンドの運用を可能に

RelicのCVC支援サービスは、CVCの設立から方針の策定や制度設計、デューデリジェンス(投資先候補の詳細調査)、事業シナジーの創出までを一貫して支援する。

CVCの運営コストは、ファンド規模に応じた一定額の運用手数料で賄うのが一般的なため、必然的にファンド規模が大きくなりがちだが、RelicはCVCの運営コストを事業開発支援コンサルティング費用とすることで、1億円ほどの小規模なファンドでも運用を可能にした。

技術シーズや知財データベースを利用して、投資領域を選定するとともに、顧客の事業や保有技術、シナジーの創出などを踏まえた戦略的な投資領域の選定も支援する。

Relicはこれまでに4000社、2万件以上の新規事業開発に携わってきた実績を持つ。

スタートアップについては、経済産業省が2022年に「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、スタートアップエコシステムの創出に力を入れているほか、東京都をはじめスタートアップの支援に前向きな自治体もある。

文:M&A Online

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