女性活躍支援 休暇は「有給」がトレンド

■産育休者のチームに賞与支給も

DX支援のスパイスファクトリーはこのほど、2023年度の男性を100%とした女性の賃金比率が103%になったことを公表した。要因について「組織全体のダイバーシティへの高い意識」と分析しており、情報開示の流れが鮮明になるなかで、女性活躍に向けた支援をいま一度強化する動きが広がりつつある。

自動車産業DX事業のナイル(東京都品川区)は、法定休業だけでは産育休前から出産直後のニーズをカバーしきれないとして、新たに2つの特別休暇を導入。また産育休取得者の業務引継の負荷、復帰までの長期間にわたるフォローに報いるため、チームメンバーに対して直近賞与時に特別賞与を支給する「さんきゅうインセンティブ制度」を新設している。

2つの特別休暇を詳しくみると、まず産休前の対応では妊娠希望者のほか、妊娠中・妊娠中のパートナーがいる全従業員に、月2日分の有給の特別休暇「妊休」の取得を可能とした。つわりや妊婦健診、不妊治療、パートナーの通院付添い、第1子の世話などで利用でき、半休・時間休での取得も認める。

もう一つの特別休暇としては、パートナーが出産した全従業員が出生日の翌日から起算して10営業日以内に、2日分の有給の特別休暇が取得できる「出産サポート休暇」を制度化。出産直後に行う行政手続や、第2子出産の場合の第1子の世話などの活用を想定し、半休の取得も可能とする。

テレビ朝日グループの日本ケーブルテレビジョン(東京都港区)は、23年4月から試験的に導入していた有給の生理休暇「エフ休」の正式導入を決めた。健康維持目的のウェルビーイング休暇として申請し、取得後に人事総務部に直接連絡してエフ休への振替えを認める。男性上司に生理で休むことが知られず、23.5%が取得するなど女性社員に好評だったことから制度化に踏み切った。

「エフ休」は試験導入期間の11カ月で23.5%の女子社員が取得。厚生労働省発表の2022年度生理休暇請求率は0.9%で、その26倍超にあたる(画像:プレスリリースから)

サッポロビール(東京都渋谷区)は、給与の日割額の9割を支給する生理休暇について、取得の心理的ハードルを下げるために「M休暇」へと名称変更。また半日単位での取得も認め、取得事由の適用範囲に「月経前症候群(PMS)の体調不良」を追加している。


データベースマーケティング支援のユーソナー(東京都新宿区)は3月から産休・育休からの復職を後押しするために、オフィス内に無料のキッズスペースを開設した。保育士を常駐させる保育施設ではなく、保護者を保育責任者とみなし、社内の保育士資格保有者が定期確認する「子連れ出勤」を制度化。就業時間と同じ利用時間とし、当面は子が1歳11カ月までの利用を想定している。

ガラス張りの会議スペースの一角に開設したキッズスペース。社員は赤ちゃん連れで執務できる

補助金支援事業のDroR(東京都渋谷区)は3月から、卵子凍結費用の補助を開始。34歳以下の女性社員、もしくは社員の34歳以下の配偶者の卵子凍結費用として40万円を上限に補助する。

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