創業110年 靴店閉店へ 富山県氷見市のクニモト靴店「お客に感謝」

思い出を振り返る国本さん夫妻=クニモト靴店

 富山県氷見市本町のクニモト靴店が、創業110年以上の歴史に幕を下ろす。3代目の国本武志さん(79)、和子さん(76)夫妻が高齢や健康上の理由で決めた。閉店は6月末を予定し、「この年まで続けられて満足している。お客さんや地域の愛顧のおかげ」と話す。

 国本さん夫妻によると、創業年ははっきりしないが蔵にあったレジに1907(明治40)年の記述があった。店の歴史を感じてもらおうと、22日からこのレジと約30年前の手書きのポップを店内に飾っている。

 「売れた時もあったし、これでだめかなと思うことも何回かあった」と和子さん。6年前に売り場は3分の1に縮小したものの店を守ってきた。23日に訪れた客は閉店を知り「寂しくなる」と話したという。

 市中心部で5月5日に開かれる「百縁笑店街」の参加に合わせ、感謝の店じまいセールを始める。かつて本町商店街振興組合理事長を務めた武志さんは「店番が生きがいだった」と言う。閉店後はウオーキングで健康づくりに励み、和子さんは趣味や旅行を楽しむという。

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