和菓子における「生菓子」 “生”とはどういうこと? 京都・和菓子店の職人が明かす“生の条件”とは

日本が誇る伝統ある食文化「和菓子」。祝い事や行事があると手土産として購入することも多いのでは? さて、饅頭や大福など和菓子にも多くの種類がありますが、その中で「生菓子」と呼ばれるものがあります。普通の和菓子と何が違うのでしょうか。京都で和菓子の製造・販売を行う『株式会社鼓月』の広報、鳥飼優介さんに話を聞きました。

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【写真】職人の技が光る生菓子

1945年(昭和20)に京都で創業した同店。焼饅頭や最中など、様々な和菓子を作る和菓子店の職人によると、生菓子は「水分量が40パーセント以上で、商品完成後などに熱処理をしていないもの」と定義されるのだそう。ちなみに半生菓子は「水分量が40パーセント未満で、製造工程の中で焼くなど熱を加えるもの」とのこと。つまり職人が作る上生菓子のようなものは生菓子、焼く工程などが入るどらやきなどは半生菓子なのです。ただ、半生菓子においては定義が曖昧であることから、明確に分けることは難しいといいます。

生菓子の中でも「上生菓子」は通常の生菓子とどう違うのでしょうか? 鳥飼さんは「上生菓子は、四季折々の形・色彩・香りなど自然を表現したものが多く繊細で上品なもの。和菓子職人による手作業でひとつひとつ丁寧に作られており、生菓子の中でも上等なものを指す」と説明。白あんから作った「練り切り」などは上生菓子に分類されるそうです。

近年では外国人観光客の増加により、新たなニーズも生まれています。同店でも店を訪れる外国人観光客の声により、累計25万個以上を販売する定番商品の“抹茶味”を開発し販売をスタートしたほど。日本で古くから楽しまれてきた和菓子は、伝統的なものを守りながら形を変えて多くの人に愛され続けています。

※ラジオ関西『Clip』2024年4月23日放送回より

(取材・文=迫田ヒロミ)

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