敵将は”敗者”の大岩Jに自信!? 無敗でGS首位通過の開催国カタールに母国メディア期待も、警戒緩めず「日本は一筋縄ではいかない」【U-23アジア杯】

8大会連続オリンピック出場を目ざす大岩ジャパンが、不安な1敗を喫した。

現地4月22日、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップのグループB最終節が行なわれ、U-23日本代表は韓国代表と対戦。日本は多くの得点チャンスを作りながら決定力を欠き、0-1で敗北。2勝1敗のグループ2位通過となり、決勝トーナメント1回戦(25日)は開催国カタールと相まみえる。

首位通過を懸けた日韓戦。すでにグループステージ突破を決めている日本の大岩剛監督は大幅にメンバーを変更して臨んだ。

前半は0-0で折り返し、中盤でのせめぎ合いが多くなった後半は激しいプレーが続発。54分にはMF川﨑颯太に対し、相手MFキム・ドンジンが足を上げる危険なタックル。川﨑は痛みでしばらく起き上がれず、このプレーに対し日本の複数選手が激昂して相手に詰め寄り、両チームが一触即発の空気となる場面もあった。

均衡が破れたのは75分。CKからキム・ミンウが豪快なヘディングを決めて韓国が先制。1点を追いかける日本は次々と攻撃的な選手を投入し、反撃に打って出る。だが終盤の決定機を決め切れず、そのままタイムアップ。日本は猛攻実らず、1点が遠かった。
白熱の日韓戦には、次戦で顔を合わす相手メディアも熱い視線を注いだ。カタールの首都ドーハを拠点にする英字新聞『The Peninsula Qatar』は、この試合のレビュー記事を配信。グループAを無敗でトップ通過を果たした母国の準々決勝の相手が、日本に決定したと伝えた。

記事では、「今年のパリ五輪出場を目指す開催国カタールのU-23アジアカップ準々決勝の対戦国がついに決定した。2016年の同大会チャンピオン・日本という難敵に直面することになった」と紹介。「一筋縄ではいかない手ごわい相手」だと評し、強い警戒を示した。 とはいえ、グループAのライバルと目されていたオーストラリア代表とスコアレスドローを演じ、勝点7で勝ち進んだカタールはノックアウトステージを前に大きな自信をのぞかせている。カタールを率いるポルトガル人のイリディオ・ヴェール監督はグループステージ首位通過後、「この3試合で負けなかったことは、チームにとって最高の成果だ。次の試合に向けて、すべての選手が肉体的にも精神的にも準備万端であることを確認したい」と、十分な対策を練ったうえで一発勝負の日本戦に強い意気込みを示した。

実はカタールは、日本よりも日程面で大きなアドバンテージがある。現地21日に最終戦を行なったグループAは、日本よりも1日多い中3日で試合を迎える。さらにヴェール監督は、決勝トーナメントを見据えてオーストラリア戦にはターンオーバーを実施。レギュラークラスの選手を休ませ、控えメンバーに試合勘を養わせる思惑が見事にハマリ、引き分けに持ち込むことに成功。主力メンバーは中5日と休養十分な状態で、打倒・日本に臨んでくる。
いよいよ次は負けたら終わりの一発勝負。もし敗れれば、その時点で五輪への道が断たれる文字通りの「絶対に負けられない戦い」である。1996年アトランタ大会から続くオリンピックの出場切符を若きサムライブルーは掴むことができるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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