コンサル、IT企業代表からブドウ栽培 夢のワイナリー、高知にUターンの男性

「よさ来いワイナリー」のオープニングセレモニーで、テープに見立てたブドウの枝を切る窪内靖治さん(右から3人目)ら=2024年3月、高知市

 ワインを造るという夢をかなえるため、東京から高知にUターンした男性が立ち上げたワイナリーが2024年3月、オープンした。店名は、高知の夏の風物詩「よさこい祭り」をもじって「よさ来いワイナリー」。自分で醸造したワインなどを販売する。代表の窪内靖治さん(44)は「高知にワイン文化を広めたい」と話す。

 高知市内のビル1階のワイナリーで3月16日、オープニングセレモニーが開かれ、窪内さんがテープに見立てたブドウの枝を大きめのはさみでカットした。店内中央のテーブルには色鮮やかなワインが並び、奥に入るとガラスの扉越しに醸造タンクを眺めることもできる。

 高知市出身の窪内さんは愛知県の大学に進学し、卒業後は都内のコンサルティング会社に就職。サッカーJ2「ブラウブリッツ秋田」や日本フットボールリーグ(JFL)「高知ユナイテッド」での勤務を経て、IT企業の代表も務めた。

 窪内さんには夢があった。自分のつくったサッカーチームの試合をテレビで見ながら、自分の造ったワインを飲む―。2019年から、実現のため週末に東京から長野のワインアカデミーに通い、2020年に高知に戻りブドウ栽培を始めた。

 2021年に高知県南国市のブドウ畑約1ヘクタールを引き継ぎ、本格的な栽培に着手。肥料を使わず、農薬も最低限の使用にとどめた。除草剤に頼らない「草生栽培」と呼ばれる方法などを取り入れているという。

 販売するのは6種類。初めて自家醸造したワインは華やかな香りがあり、芯の強さを感じられる味わいに仕上がったといい、土佐弁で高知の女性を意味する「ハチキン」と名付けた。「高知の風土を表現できるようなワインを造りたい」。窪内さんは力強く語った。

自家醸造したワイン「はちきん」を手にする「よさ来いワイナリー」代表の窪内靖治さん=2024年3月、高知市
オープンした「よさ来いワイナリー」。左は代表の窪内靖治さん=2024年3月、高知市

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