出版前のハリー・ポッターの新作を入手して―。一流ファッション誌のカリスマ編集長の無理難題に振り回されながら、成長する新米アシスタントの姿を描いた映画「プラダを着た悪魔」に、こんなシーンが出てくる
▼仕事はできるが、とにかく厳しい鬼編集長。私生活では、双子の娘を愛する優しい母親の一面をのぞかせる。本来ならば業務外の理不尽な指示は、その娘たちのため。ともあれ、アン・ハサウェイ扮(ふん)するアシスタントが奔走することになる
▼シリーズものの物語だと、話がどう展開していくのかが気になり発売日が待ち遠しくなる。人気作家の新作になると、愛読者が書店に列をなす。売れ筋ばかりでもなく、長く読み継がれている古典や絵本など品ぞろえにも個性があり、街の書店は宝の森といっていい
▼ところが、最近の書店事情は厳しい。経済産業省が省内横断のプロジェクトチームを設置し、書店の振興に向けて施策の検討に入るほど、経営難や後継者不足でその数が減っている
▼こどもの読書週間が始まった。鬼編集長のような溺愛はいかがなものかと思うが、興味を引き出し学びの芽を伸ばすきっかけづくりに、まずは書店へ一緒に出かけてみてはどうだろう。