【家づくり】木造と鉄骨造、どっちがいい?「とりあえず住宅展示場へ行く」より先に知るべき事実【登録者数11.5万人/住宅系YouTuberが助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

ハウスメーカーで家づくりをする際に、最初に心がけるべきこと。それは「構法の基本を押さえておくこと」です。ハウスメーカーで建てる家は木造か鉄骨造のどちらかです。木造住宅と鉄骨造住宅の違いは何か? また、それぞれの長所や短所は? まかろにお氏の著書『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、“何となく”動き出す前に押さえておきたい基本知識を紹介します。

「構法の基本」を理解しなければ、正しい選択はできない

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<POINT>

木造・鉄骨造住宅の違いや、それぞれの長所・短所など、基本的な知識を知らぬまま、家づくりを進めてしまうのは危険です!

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ハウスメーカーで家づくりをする場合、一部の富裕層に向けて商品展開されている鉄筋コンクリート造(RC造)や、木造+鉄筋コンクリート造の混構造を除けば、主に木造住宅か、もしくは鉄骨造住宅のどちらかを選ぶことになります。

ただし、「木造住宅と鉄骨造住宅の根本的な違いは何なのか?」「木造住宅と鉄骨造住宅それぞれの長所と短所は?」など、施主自身が基本的なことをおさえておかないと、正しい選択はできません。

ハウスメーカー各社は、今まで脈々と受け継がれてきた住宅建築の構法を改良・進化させ、独自の構法として発展させた商品を扱っています。つまり、木造住宅や鉄骨造住宅の基本を理解していないと、それらを発展させたハウスメーカー独自の構法の良し悪しも読み解くことができないということです。

また、今までの住宅業界は、自社商品が他社商品よりもどこが優れているのか、他社商品のどこが悪いのか、そして、自社を有利に進めるためには、どんな営業トークをすればよいのか…というような、小手先の部分ばかりに意識が向けられてきたように思います。そのため、営業の現場では、競合他社を蹴落とすためだけに生まれた、根拠のない営業トークが蔓延(はびこ)っているのが現状なのです。

この住宅業界の実情を知らぬまま、ただ担当営業マンの説明を鵜呑みにしてしまうのは、非常に危険です。遠回りのように思えるかもしれませんが、まずは家づくりの基本的な知識を身につけましょう!

[図表1]ハウスメーカーで家づくりをするときの最初の心がけ 出所:まかろにお著『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)

[図表2]木造と鉄骨造の基本を押さえておかないと… イラスト:ひらのんさ
出所:まかろにお著『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)

木造住宅のメリット・デメリット

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<POINT>

木造のメリットは、断熱性能・気密性能・デザイン自由度の高さなど。一方で、強度面や大規模リフォームの観点だと鉄骨造が有利です。

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木造住宅のメリットは、大きく3つ存在します。

1つ目のメリットは、断熱性能が高いという点です。断熱性能とは、家が受ける外気の影響を低減し、室内の温度を保持してくれる性能のことです。木と鉄、それぞれの素材特性を比較すると、鉄は木の300〜500倍熱を伝えやすいという性質があります。そのため、断熱性能という面においては、木造の方が鉄骨造よりも有利な構造ということになります。

2つ目のメリットは、気密性能が高いという点です。気密性能とは、家にどれだけ隙間が空いているのかを一言で言い換えたものです。鉄は素材自体が温度で伸縮する特性がある都合上、多少の隙間ができやすいのですが、木にはそのような特性がないことから、気密性能が優れているといわれています。

3つ目のメリットは、デザインの自由度が高いという点です。木造の方が細かい調整がしやすく、デザイン性を追求するとなると、木造の方が有利となってきます。これら3つが、木造の主なメリットになります。一方で、木造にはデメリットも大きく2つあります。

1つ目のデメリットは、鉄骨造と比較したときに強度面で劣るという点です。災害時に身を守るということを考えると、強度の高い鉄骨造が有利です。

2つ目のデメリットは、大規模リフォームに不向きであるという点です。建物の強度低下を考えると、安易に木造住宅を大規模リフォームすることは難しいです。

これらの特徴から、どちらかというと木造住宅は、都心部のような狭小地ではなく、比較的広めの土地で建てる場合に向いているといえます。

[図表3]木造住宅のメリット・デメリット 出所:まかろにお著『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)

鉄骨造住宅のメリット・デメリット

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<POINT>

鉄骨造住宅のメリットは、災害に強いという点と、大規模リフォームが得意であるという点です。一方、断熱・気密性能は木造が有利です。

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鉄骨造で家を建てるメリットは、大きく2つ存在します。

1つ目のメリットは、災害に強いという点です。多くの方が自分たちの家の耐久性は気にすると思いますが、近隣の建物のことまで気にされる方はあまりいません。しかし、新居を構える以上、建築予定地の周囲にはどんな建物が建っているのか? その建物は古いのか、新しいのか? 近隣住宅との距離は近いのか、それとも多少離れているのか? などを把握し、そのうえで家の構造を考える必要があります。

阪神・淡路大震災では、地震自体の被害も大きかったのですが、それ以上に二次被害の火災がひどかったとされています。住宅には、地震とその後の火災から身を守ることができる堅牢さが不可欠であり、特に都心部などの住宅密集地や古い住宅街で家を建てる場合は、木造よりも鉄骨造の方が有利になるケースが多いです。

2つ目のメリットは、大規模リフォームが得意である点です。鉄骨造住宅は、骨組みだけを残して、空間をがらんどうにして室内を再構築することができます。木造住宅では柱や壁の問題で大規模リフォームが難しいことが多いため、この部分は鉄骨造の大きなメリットになります。

ただし、「熱を伝えやすい」「温度によって伸縮する」といった鉄の素材としての特性上、断熱性能と気密性能は、木造に比べて不利になるケースが多いです。そのため、鉄骨造を採用しているハウスメーカー各社が、どのようにしてそのデメリットを補っているかは確認する必要があります。

[図表4]鉄骨造住宅のメリット・デメリット 出所:まかろにお著『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)

[図表5]新築戸建て住宅の構造別割合 イラスト:ひらのんさ
出所:まかろにお著『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)

まかろにお

住宅系YouTuber

大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社。商品企画・住宅営業を経験し、営業で全国トップの成績を獲得。その後、大手金融機関の不動産融資担当などを経て、独立。「人から始める家づくりの重要性を世に広める」をモットーに、ハウスメーカーの解説や、家づくり全般に関する攻略法について情報を発信している。注文住宅を建てる人が自ら営業担当を選べるマッチングサイト「MEGULIE(メグリエ)」を運営。

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