クラフトビール、文化普及へ団結 県内7醸造所が「協会」設立

県クラフトビール普及協会を設立し、記念撮影する県内7醸造所の代表者=天童市・湯坊いちらく

 県内でのクラフトビール文化普及を目指し、県内全7醸造所が県クラフトビール普及協会を設立した。一致団結して品質と認知度の向上に取り組み、県民に県産ビールに親しんでもらう狙いがある。日本酒やワインに並ぶ県産酒に育てるべく、さまざまな活動も計画している。報道向けのお披露目会を23日、天童市の湯坊いちらくで開いた。

 参加したのは▽月山ビール(西川町)▽天童ブルワリー(天童市)▽米沢ジャックスブルワリー(米沢市)▽長井ブルワリークラフトマン(長井市)▽ブリューラボ・108(トウハチ)(天童市)▽蔵王ブルワリー(山形市)▽酒田トラディショナルビール(酒田市)。それぞれ個性豊かな商品を造り、クラフトビール人気を追い風に存在感を高めている。

 ビール類の日本市場は縮小傾向だが、クラフトビール市場は逆に右肩上がり。県内でもブルワリーの増加と共に生産量が増え続け、2024年度は5年前の2.5倍に当たる20万リットル超を生産見込みだ。これまでは各社が独自に活動したが、協会を組織して団結、切磋琢磨(せっさたくま)することで、普及と品質向上の加速を狙う。

 具体的には、醸造技術者が集まり、各社の技術やデータを共有して研さんする交流会を計画。醸造所の見学や研修により、技術向上につなげる。全醸造所が一堂に集まる独自イベントを開くほか、外部イベントにも積極出店し、県産ビールの魅力を発信する。

 各醸造所は独自にサクランボやラ・フランス、つや姫など県産農産物を使ったビールを造る。協会として今後、ホップなど他の県産品使用も促す。新醸造所が設立されれば協会への参加を呼びかける。

 会長に月山ビールを運営する西川町総合開発の設楽靖課長が就いた。23日は全国団体が認定する「クラフトビールの日」で、設楽会長は「協会は悩みや課題を持ち寄り、相談する場にしたい。飲食店で『取りあえずビール』ではなく、各醸造所の銘柄名で注文が入る環境をつくる」と意気込んだ。

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