追悼の道、被災復興実感 国営施設工事開始、26年3月完成目指す

 東日本大震災の犠牲者を追悼する施設として整備中の県復興祈念公園(浪江町、双葉町)を巡り、中核施設となる福島国営追悼・祈念施設(仮称)の建築工事安全祈願祭が23日、現地で行われた。国営施設は高さ16メートルの「追悼と鎮魂の丘」の内部に造られ、来場者が祈りをささげる献花広場に着くまでの間に、復興の歩みなどを実感できる空間構成とする。外構工事を含めて2026年3月の完成を目指す。

 追悼と鎮魂の丘の北西部に入り口が設けられ、エントランスホールを通じて入り口側の通路に入る。通路内には被災前の情景、地震や津波の襲来、東京電力福島第1原発事故の発生などを伝える映像を流すコーナーを設けており、来場者が歩きながら復興の歩みを体験できる。

 通路の先にある円筒形の空間には屋根がなく、底面にある水盤に陽光が注ぐ。来場者は壁際に設けられたらせん形の階段を上りながら、丘の上部へと向かう。出口側の通路は、先に進むにつれて明るくなる構造になっており、復興に向かう現在を象徴している。通路の先は丘の南東側にある献花広場で、震源の方向や太平洋、第1原発の排気筒など360度を展望できる場所となっている。

 23日に行われた安全祈願祭では、国土交通省東北地方整備局や浪江、双葉の両町、設計を担ったアール・アイ・エー・プレック研究所設計共同体、施工者の大林組の関係者らが参加して工事の無事を願った。施設は地下2階、地上1階の鉄筋コンクリート造り一部鉄骨造りで、本体工事は26年1月の完了を目指す。

 国営追悼・祈念施設は国が本県と宮城、岩手の被災3県に1カ所ずつ整備する。宮城、岩手の両県ではすでに各県が整備した復興祈念公園とともに完成している。本県の公園は整備の途上となっており、国営追悼・祈念施設の完成と併せ、震災から15年の節目となる26年春の開園に向けて調整を進める。

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