マカオで”人食いバクテリア”ビブリオ・バルニフィカス菌感染確認例…患者はビーチで遊泳中に魚のヒレと接触

マカオ・コロアン島にある「黒沙海灘(ハクサビーチ)」(資料)=本紙撮影

 マカオ政府衛生局は4月23日夜、マカオで「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バルニフィカス菌の新規感染確認例が1件報告されたと発表。

 患者は慢性疾患を持つマカオ人の男性(74)。4月19日午前7時頃にコロアン島の黒沙海灘(ハクサビーチ)で遊泳していたところ、誤って魚のヒレと接触し、左脚の一部に刺傷を負ったという。その後、同日午後5時頃に悪寒、発熱、左脚に腫れと痛みが出現したことから、中国本土の医療機関を受診したところ、外科手術による治療を勧められ、マカオに戻って公立総合病院の仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)を受診。同院での検査で左脚の壊死性筋膜炎と診断され、感染・壊死組織の除去と創の清浄化及び治療のため入院することに。23日に創傷分泌物の検査結果が判明し、ビブリオ・バルニフィカス菌感染が確認されたとのこと。

 なお、患者は治療を経て熱も下がり、容体は安定しているが、しばらく入院治療を要するとした。患者と同住の家族に同種の症状は出ていないという。

 衛生局では、ビブリオ・バルニフィカス菌は温暖地域の海水中に自然に存在する細菌で、傷口が菌を含む海水に触れたり、汚染された魚介類の摂取により感染を引き起こす可能性があるとし、皮膚に傷がある場合は海水との接触を避ける、傷口を清潔に保ち適切に保護する、魚介類を口にする際及び調理において取り扱いに注意するなどの対策のほか、生命に関わるため、摂取や接触後に下痢、嘔吐、腹痛、皮膚の腫れ、痛み、化膿といった感染が疑われる症状が出現した際には速やかに医療機関を受診するよう呼びかけた。

 マカオにおけるビブリオ・バルニフィカス菌の感染確認例は今年に入って2例目。前週の今年第1例目となる患者は死亡に至っており、自宅で魚介類を処理して食べていたことがわかっている。

 昨年も感染例が相次ぎ出現し、コロアン島のビーチで遊泳中と散歩中に手や足の指が魚のヒレと接触して負傷したことによるケースが2件、コロアン島・コロアンヴィレッジ付近の堤防で魚釣りをしている男性が釣れた魚を掴む際に手の一部が魚のヒレと接触して刺傷を負ったことによるケースが1件、公設市場の鮮魚売場で誤って魚のヒレで指に刺傷を追ったことによるケースが1件の計4件確認されたが、死亡例はなかった。

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