日本海政経懇話会 企業理念の発信重要 中部・東部例会 馬渕磨理子氏が講演

馬渕氏の講演に聞き入る会員ら=23日、倉吉市山根の倉吉シティホテル

 日本海新聞政経懇話会(新日本海新聞社主催)の中部、東部例会が23日、倉吉、鳥取両市内で開かれた。テレビや雑誌など多くのメディアで活躍する経済アナリストで日本金融経済研究所代表理事の馬渕磨理子氏がデフレ脱却を達成できるかどうかの瀬戸際にある日本経済の現状を解説し、企業理念を発信し続けることの重要性を説いた。

 馬渕氏はバブル崩壊後の日本経済を概観し、「経営者の手の中から経営がこぼれ落ちた。みんな自信を失い、大胆な経営ができておらずもったいない」と指摘。若者を中心とした現代の価値観についても「経済的豊かさと幸福度がリンクしない」と分析し、物の購入と幸福感が結び付かない世代に対して企業が消費や就業を促すことが難しくなっているとの見解を示した。

 その上で、「こういう社会にしたいという『理念』は、価値観が違っても共感を呼ぶ。1、2行でもいいので言葉にし、従業員に話したりホームページに掲載したりすることが大事」と継続して発信することの必要性を説いた。加えて、世代間でもマッチする持続可能な開発目標(SDGs)の考え方や「簡易版BCP(事業継続計画)」を取り入れることを薦めた。

 東部会場に出席したサービスタクシーの松浦秀一郎社長(38)は「簡易版BCPを取り入れたいと思った。何があっても事業継続する安心感をサービスの価値として顧客獲得や売り上げ達成につなげ、賃金を上げる好循環をつくる」と話した。(井田慎一、深田巧)

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