特産ユズ、仙霊茶、お米…兵庫・神崎の食材をジェラートで 地元育ち河野さん兄妹、25日開店

神崎郡で作られた果物や卵を使ったジェラートや焼き菓子を販売する河野陽菜さん(右)と優太さん=神河町上岩

 兵庫県神崎郡神河町上岩の小田原川沿いに25日、神崎郡の特産品をふんだんに使ったジェラート店「Gelato&Cafe ひよこ」がオープンする。手がけるのは、同町南小田で育った河野陽菜さん(26)と優太さん(30)兄妹。ユズや仙霊茶、お米などの素材の良さを生かした商品をそろえ、二人三脚で「地元の味」を発信する。(喜田美咲)

 同店は今年2月に設立された「ひよこカンパニー」が運営。調理を担当する陽菜さんが代表を務める。

 河野さん一家は18年前、田舎暮らしに憧れて神戸市から移住した。男女4人のきょうだいで、陽菜さんは調理専門学校「みかしほ学園」(姫路市)で製菓衛生師と調理師の資格を取得し、卒業後は町内のホテルで腕を磨いた。

 同町では少子化が進み、通った南小田小学校は閉校に。それでも「満天の星や豊かな自然は変わらず美しい」と数年前、町外からも足を運んでもらえる場所をつくろうと、ジェラート店の出店を決めた。今年1月には香川県・小豆島の人気ジェラート店へ行き、泊まり込みで修業した。

 優太さんは大学進学で町を離れ、大阪で営業マンとして働いていたが、陽菜さんから協力を打診され、退職と帰郷を決意。培った営業力を生かして広報や外部との調整役を担う。兄妹だからこそ「ストレートに言葉をぶつけ合うこともある」というが、最後は代表である陽菜さんの意見を尊重することを大切にする。

 地元産食材を探し、紹介を受けながら農家や畜産家に会った。手間暇をかけて商品を仕上げる生産者の思いに触れるうち、「こんなにも高品質で熱意のこもった食材があふれていたのか」と驚くとともに、地元への愛が強まったという。

 季節ごとにメニューを変え、常時十数種類のジェラートを作る。開店時は藤原農園(同町山田)のイチゴが原材料の80%を占める「いちごソルベ」や、町産ユズの香りを引き立たせた「ゆずクリームチーズ」などを並べる予定。隣の市川町にある田隅養鶏場(同町田中)の卵を使ったプリン味や津田豆腐製造所(同町澤)の豆乳で作る黒蜜豆乳きな粉味も登場する。

 窓から神河の自然を眺めてくつろいでもらおうと、店では焼き菓子や飲み物も販売。陽菜さんは「大好きな町に恩返しができるよう、ひよっこから成長していきます」と意気込む。

 午前11時~午後4時。火、水曜が定休。ジェラートのシングルは450円、ダブル600円、トリプル700円。同店TEL080.7190.5758

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