まぜご飯のもと「ひろし」人気で需要アップ、広島菜の春物増産 JA広島市 土産物向けも好調

ビニールハウスで広島菜を育てる農家(広島市安佐南区)

 広島県特産の広島菜の需要が高まっている。要因の一つが、三島食品(広島市中区)が販売する広島菜入りのまぜご飯のもと「ひろし」のヒットだ。最盛期である秋から冬の入荷だけでは足りず、JA広島市(安佐南区)が生産者に呼びかけて春物も増やしている。新型コロナウイルス禍の影響が薄れ、土産物向けの引き合いも強まっている。

 同JAによると、2023年度の広島菜の入荷量は1160トン。天候不順の影響で前年より12・5%減ったものの、千トンの大台を超えた。このうち春物は70トンで、24年度は7割増の120トンを見込む。全体の入荷量はコロナ禍の20年度に778トンに落ち込んだが、21年度以降は千トン超えが続いている。

 増産のきっかけは、21年2月に三島食品が発売した「ひろし」のヒットだ。21年度の入荷量は1348トンと前年度の1・7倍になり、280トンが春物だった。JA広島市広島菜漬センターの藤本康隆総合所長は「冬だけでは生産能力が追いつかない。ひろしで需要を盛り返し、広島菜の伝統を守ることにもつながっている」と説明する。

 安佐南区川内で栽培歴約80年の宮本茂基さん(92)も春物を育てている。「もう少し葉が大きくなれば出荷できる。順調に育っとる」と目を細める。冬物と比べて葉が柔らかく苦みが少ないのが特徴で、5月上旬の収穫を予定する。

 コロナ禍の影響が和らぎ、土産用の需要も回復してきた。漬物製造の山豊(安佐南区)は23年度、高速道路のサービスエリアやJR広島駅などで扱う土産品の販売が22年度より3割増えた。今月から古漬けの広島菜と一緒に漬け込んだレモンやキュウリ、こもち昆布のイラストをパッケージにあしらい、食べんさい広島菜シリーズとしてPRしている。

 企画開発課の佐々木理絵課長は「かわいらしいイラストで、手に取ってもらう機会を増やしたい」と期待する。

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