【解説】トロピカーナ“出荷停止” 江崎グリコでのシステム障害が原因 復旧はGW以降か 「2025年の崖」に懸念

江崎グリコで4月初めに発生したシステム障害が、ほぼすべての冷蔵食品の出荷停止につながり、キリンビバレッジの「トロピカーナ」の販売にも影響を及ぼしている。
江崎グリコは、14日に全国で冷蔵商品の出荷を停止し、18日に一部で再開しようとしたが、再びシステムトラブルが発生し、再度出荷停止となった。

システムトラブルで出荷停止…品薄状態続く

「プッチンプリン」の出荷停止が、「トロピカーナ」の販売にも影響している。

キリンビバレッジは、紙パックの「トロピカーナ」など一部の冷蔵商品について、出荷を停止していると明らかにした。

キリンは、これらの商品の販売を江崎グリコに委託しているが、江崎グリコで4月初めに発生したシステム障害による影響だとしており、江崎グリコでは現在、プッチンプリンなど、ほぼすべての冷蔵食品の出荷を停止している。

この影響はゴールデンウィークまで続くのか、くわしく解説する。

出荷停止となっている商品は、毎日のように食べたり飲んだりする人も多いと思われるが、全国的に品薄状態になっており、都内のスーパーの様子を見ると、20日の時点で、すでにプッチンプリンの売り場は、ほとんど空になっていた。

23日、「イット!」のスタッフが都内のスーパーを確認したところ、グリコの冷蔵商品はほぼなかった。

そもそも、グリコでシステム障害が起きたのは4月3日で、14日には全国でグリコの冷蔵商品の出荷を停止した。
その後18日に、一部で出荷を再開しようとしたが、またしてもシステムトラブルが発生し、再び出荷停止となっていた。

そして、23日同じ物流システムを使っているキリンでも、トロピカーナなどを出荷停止すると明らかにした。

同じ物流システムを使っているということは、今後さらに、ほかの企業に影響が広がる可能性もあるのだろうか。

グリコによると、ほかに同じ物流システムを使っている企業はないため、「これ以上広がらない」という。

気になる出荷再開は、ゴールデンウィーク以降となりそうで、5月中旬を目指すとしている。

「2025年の崖」問題で12兆円損失の可能性も

フジテレビ・智田裕一解説副委員長によると、今後もこうしたシステムトラブルは起こる可能性があるという。

2025年までに古いデータシステムが更新されず、デジタル化に対応できなければ、企業によっては、2025年に大きな問題が起きるとされている。

サイバー攻撃に弱くなったり、システムトラブルやデータの流出のリスクが高まるとされ、国全体で年間最大12兆円の損失が生じるという「2025年の崖」という問題が指摘されている。

さまざまな企業で、既存システムの老朽化対策を進めているものの、IT人材の不足などで新しい技術の導入に遅れが生じているケースもあり、トラブルの原因になりうる。

物流業界でも人手不足などは深刻で、システムによる合理化が必要である一方で、こうしたトラブルが起きたときの対策もしっかりと準備してほしい。
(「イット!」 4月23日放送より)

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