爆笑問題・太田光が熱弁ふるった“売れる芸人の条件” ウエストランド井口に「事件を起こしたやつが」

太田光(C)日刊ゲンダイ

都内の図鑑カフェを舞台に爆笑問題・太田光がゲストとじっくりと語り合う「太田光のテレビの向こうで」(BSフジ)。お互いに率直な思いや質問をぶつけることで、知られざるエピソードが次々と引き出されていく魅力的な対談番組だ。

1月放送の初回ゲストは、シンガー・ソングライターの佐野元春。1980年代という時代の特異性、お互いのルーツや作品、創作活動に対する思いなどについて熱く語り合った。個人的には、太田の両親がブレーク前のハナ肇とクレージーキャッツのパフォーマンスを見ていたエピソードに胸躍った。

4月7日放送の第2弾には、昨年のWBCで侍ジャパンを優勝に導いた栗山英樹前監督が登場。米大リーグのドジャース・大谷翔平選手の話題から始まり、現役時代に決してスター選手ではなかった栗山氏の名将ぶりを映画「七人の侍」の島田勘兵衛(農村を守るため個性豊かな侍を率いる浪人)に例えるなど、序盤から太田らしい着眼点で話は運ぶ。

その後、日本野球と漫画との関係性、読者または著者としての本との関わり方など話題は多岐にわたったが、とくに印象に残ったのは“太田がテレビや笑いに対してどう向き合ってきたか”について語る場面だった。

栗山氏が、ベテラン芸人として若手をどう見ているのか尋ねると「今若いお笑いの連中もみんなスクールに入って『こういう場合はこういうボケをする』とかって、たぶん習ってるはずなんですよ」と太田は口を開く。

続けて「俺らの若手の頃って『とにかくめちゃくちゃやりゃいいんだろ』っていうところで。テレビじゃとても使えないような、僕らもそうだったんですけど、そういう中でやってきてるから。いわゆるセオリーとかわかんないんですよ」と苦笑した。

そのイズムは後輩に継承される

これに栗山氏が、視聴者への問題提起として意見し「わざと炎上させてる(のではないか)?」と素朴な疑問をぶつけると、太田は「そんなことない」「『絶賛されんじゃないか』って、下手すりゃ。そう思って言ったのが大炎上する」とかぶりを振る。

あくまでも結果的な問題であることを強調したものの、「『テレビの中で事件を起こしたい』っていうのは、たぶんずーっと若手の頃からあって。そこをたぶん忘れらんないんでしょうね」と語る太田が印象的だった。

かねて太田は、ウエストランド・井口浩之に「事件を起こしたやつが売れる」と伝えていた。その井口が「M-1グランプリ2022」で毒気のある漫才を披露し優勝。バラエティー番組に引っ張りだことなった。爆笑問題イズムは、今も後続に継承されているのだ。

(鈴木旭/お笑い研究家)

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