新NISA、もう始めた?…投資初心者なら、まずは「つみたて投資枠」からスタートすべきワケ【FPが助言】

(画像はイメージです/PIXTA)

新NISAがスタートしてからそろそろ4カ月。もしかしたら、周囲に出遅れて焦っている初心者の方もいるかもしれません。ここでは、FPが投資初心者向けの新NISA活用術を平易に解説します。本連載は、FP資格を保有する経済ジャーナリストの酒井富士子氏の著書『マンガと図解でよくわかる新NISA&iDeCo&ふるさと納税[増補改訂2版]』(インプレス)より一部を抜粋・再編集したものです。

投資初心者は「つみたて投資枠」を120%使い倒そう!

◆はじめての人は何から始めるのが賢い?長期の積立に適した投信から選ぼう

新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられており、1つの口座で併用することが可能です。年間の非課税投資枠の上限は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。非課税期間は共に無期限で、2つの枠を合計して最大1800万円(うち成長投資枠は1200万円)まで非課税で投資できます。

投資対象商品には違いがあり、つみたて投資枠で購入できる商品は、一定の要件を満たした投資信託とETFのみ。一方、成長投資枠では、投資信託やETFの他にも、上場株式やREITなど幅広い商品を購入することができます。

投資初心者の場合は、まずつみたて投資枠からスタートすることをおすすめします。つみたて投資枠の商品ラインナップの大部分はインデックス型の投資信託です。金融庁が設定した要件をクリアした長期の積立投資に適したものに限定されているため、投資に関する知識が少ない人でも安心して活用できます。また、つみたて投資枠の対象商品は、保有中に発生する運用管理費用(信託報酬)にも上限が設けられているため、低コストでの投資が可能な点も魅力です。

投資の知識がそれなりについてきて株式投資を始めたいという場合や、つみたて投資枠を使っても余剰資金がある場合には、成長投資枠の活用を検討してみるとよいでしょう。

◆つみたて投資枠と成長投資枠の違い①

つみたて投資枠

運用益の非課税期間…無期限
上限額(年間)………120万円(成長投資枠と合計で360万円)
投資できる商品………金融庁の要件を満たした投資信託
投資方法………………積立投資

成長投資枠

運用益の非課税期間…無期限
上限額(年間)………240万円(つみたて投資枠と合計で360万円)
投資できる商品………株式、投資信託、ETF、REITなど
投資方法………………一括購入、積立投資

[図表1]

◆つみたて投資枠と成長投資枠の違い②

つみたて投資枠の利用がお勧めなのは、こんな人

投資初心者で何から始めたらよいかわからない
金融庁の要件を満たし、厳選された商品から選びたい
自動で積立・運用される「ほったらかし投資」がしたい
長期でコツコツ、できるだけ損失を回避しながら投資がしたい

成長投資枠の利用がお勧めなのは、こんな人

投資経験があり投資の知識も豊富である
投資信託・ETFの積立投資だけでなく株式などの一括投資もしたい
つみたて投資枠の対象外の投資信託を選びたい
つみたて投資枠の上限(年120万円)以上の積立投資がしたい

[図表2]

金融機関選びは「投資スタイル」「窓口での相談の有無」で決めよう

◆専用口座を開く前のリサーチが大切

NISAを始めるには、証券会社や銀行でNISA専用口座を開設する必要があります。この口座は1人につき1つしか作れません。中〜長期保有が前提なので、一度決めたらその金融機関で続けるのがベター。成長投資枠で株式取引をしたいなら、証券会社でしか取引できないので要注意です。

口座管理料は一律無料なので、手数料の比較はあまり必要ありません。①商品ラインナップ、②最低積立額、③特に投資信託(投信)の積立方法、④相談のしやすさの4項目を基準に、ニーズに合った金融機関を選びましょう。

①については、単に商品の幅が広いかだけではなく、興味のある商品があるか、信託報酬の低い投信が揃っているかなどにも注目。②については、投信の積立額の最小単位や日本株・米国株の積立ができるかを確認しましょう。また、③についても、「毎月」だけではなく、「毎週」や「毎日」を選べるところがあります。その他、ボーナス月に増額するなど、積立の自由度も確認しましょう。④は、平日の夜や土日にコールセンターへ相談できるか、リアルの相談窓口があるかなどでチェックします。

一般的に、ネット証券は商品のラインナップが多く、最低積立額も100円など少額からで、積立の自由度も高い傾向があります。一方で、銀行や店舗型の証券会社は、選択肢が絞られていて選びやすく、対面で相談できるというメリットがあります。

◆銀行と証券会社、どちらを選ぶ?

銀行派

□ 普段使っている銀行で運用したい
□ 窓口でじっくり商品などの相談をしたい
□ 投資に不安が多いのでサポート重視

証券会社派

□ 運用スタイルや商品は自分で選びたい
□ PCやスマホを使うのが得意
□ 投資信託のラインナップの多さを重視

[図表3]

◆「新NISA」の口座開設の金融機関候補

[図表4] ※2024年2月末現在

酒井 富士子
経済ジャーナリスト、FP

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン