愛されて30年 大田区の人気給食メニュー「たこぺったん」が定番商品化

以前番組でもお伝えした、大田区の人気給食メニュー「たこぺったん」です。地元小学校の授業の一環で全国に広げようと進められていた取り組みが一つの区切りを迎えました。それが定番商品化です。

4月12日にリニューアルオープンし、惣菜売り場が拡大されたイトーヨーカドー大森店。一番の目玉として売り出されていたのが、大田区のソウルフード「たこぺったん」です。

1995年ごろ区内の中学校で給食メニューとして誕生した、たこ焼きをかきあげ風にアレンジしたもので、たんぱく質が豊富なタコに大豆、キャベツやトウモロコシなどがたっぷり入っています。

このたこぺったんは去年8月、5日間の期間限定商品として販売され、その後、去年9月からは大田区の志茂田小学校の授業の一貫として全国に広げようという取り組みが行なわれてきました。半年かけ児童たちとイトーヨーカ堂がアイディアを出し合って改良を重ね、そして4月12日「たこぺったん」がレギュラーメニューとして販売されることになりました。

イトーヨーカ堂 西川店長:「この棚の上にたこぺったんがこうやって乗るということがすごく感慨深いです。本当にずっとやってきた自分の子どもたちが並んでるようなイメージがします」

手塩にかけて育てたヒナ鳥を見守るかのような店長。その思いを受けるように「たこぺったん」はどんどん買い物カゴへと巣立っていきます。

売り場の店員:「相当出てると思いますけど。作って売って作って売ってという感じ」

次々と売れていく様子をじっくりと見つめるこちらの女性…

尾形さん:「皆さんから愛されるなんて思っても見なかったから、すごく嬉しいですね」

約30年前に、たこぺったんを給食メニューとして考案した元栄養士の尾形さんです。

尾形さん:「リクエスト給食のなかで子どもがたこ焼きを食べたいと言ってたので、でも学校には機械がないのでじゃあ揚げるしかないかなと。やっぱり学校給食ですので、いろいろな材料を入れたい。栄養のことも考えて作って…」

試行錯誤の上に考案したメニューが長年にわたり愛され、商品化したことについて…

尾形さん:「びっくりの一言です、うれしいです本当に。愛されて学校給食イコールおふくろの味みたいに、ずっと感じてもらえればすごいうれしいです」

そして午後3時すぎ…「たこぺったんいかがですか~。きょうから定番メニューでやってま~す」呼び掛けを行っていたのは、たこぺったんを全国に広げようと戦略を練ってきた志茂田小学校の卒業生たちです。

新中学一年生:「これを全国に広めると言われた時は、本当に広められるとは思っていなかったんですけど、正直自分達で考えてつくった料理が並ぶというのはとても感心します。嬉しいです」

生徒達にとっても嬉しい大きな成果となった定番商品化。この先さらに広い世界へ羽ばたいていくことが期待されています。

卒業生「いろいろな食卓に運ばれて、笑顔に皆さんがなって笑顔の輪がどんどん広がればいい。惣菜売り場が全部たこぺったんになっても大丈夫なくらい売れたら」

店長:「羽田空港も近いですから、羽田空港から全世界へ羽ばたくような商品になってもらえればいい」

子どもたちからの「たこ焼きを食べたい」というリクエストに、たこやき器がなくても大量に作れるよう考案された、生地をぺったんこにして作った「たこぺったん」。イトーヨーカドー大森店では惣菜一番人気のから揚げを超えるという目標を掲げていて、見事、先週15日から21日の1週間でから揚げを超える売上人気になったということです。

そんなたこぺったんについて、取材したお客さんからも「給食の時間おかわりのジャンケンが毎回熱を帯びていた」という話や、大田区の成人のつどいの際「たべたい懐かしい給食」のアンケートで一位をとるなど本当に愛されていることがわかります。

いまや全国で親しまれている「揚げパン」も、もともとは戦後間もない頃に給食メニューとして大田区で生まれたもので、区としてもたこぺったんが揚げパンのように広がっていくことを願っています。今後イトーヨーカ堂では都内を中心とした他の店舗でも、たこぺったんを期間限定で売り出す方針で、定番商品としてさらなる拡大を目指すとしています。

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